トヨタ自動車名誉会長で、経団連会長を務めた豊田章一郎(とよだ・しょういちろう)氏が14日、心不全のため死去した。97歳だった。葬儀・告別式は近親者で執り行う。喪主は長男で、トヨタ社長の豊田章男氏。豊田章一郎氏はトヨタ自動車創業者の豊田佐吉氏の孫。
名古屋大工学部を卒業し、東北大学の大学院を修了。昭和27年にトヨタ自動車工業(当時)に入社。56年にトヨタ自販の社長に就任し、57年トヨタ自工との「工販合併」を受けて、初代トヨタ自動車社長に就任した。機械工学を専攻した技術者で、トヨタの品質管理責任者としてデミング賞を受賞するなどの功績を残したほか、平成19年には自動車産業に功績を残した人物を顕彰する米国自動車殿堂に、日本人では7人目の殿堂入りを果たした。
晩年は表舞台に出ることは少なかったが、地元の愛知県主催の講演会で人工知能(AI)や自動運転の研究に言及するなど最後まで次世代技術への関心を持ち続けていた。
また本業以外でも、平成6年から経団連第8代会長をつとめた。日本経済の構造改革推進を政府に働きかけると同時に、経済外交に力を注いだ。また、産業構造審議会会長や経済審議会会長などの要職を歴任。
経団連会長退任後は、平成17年に愛知県で開かれた愛知万博で、日本国際博覧会協会会長を務めた。