三井不動産は13日、宇宙関連産業の活性化を目指し、関連するスタートアップ(新興企業)などが集まる新たなイノベーション拠点を東京・日本橋に開設すると発表した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)などと一般社団法人も設立し、産官学の連携を強化する。世界中で拡大する宇宙産業の分野で、オフィスの提供や企業交流イベントの開催といった役割を担うことで、民間主導で産業育成を支援する。
三井不動産などが設立した一般社団法人「クロスユー」はロケット開発といった既存の宇宙ビジネス企業だけでなく、食品や化学メーカーなど非宇宙企業の参入を促す会員組織。同日に会員募集を開始し、4月1日から活動を始める。
すでに日本橋にある複数の同社ビル内には宇宙関連産業の企業・団体が30以上入居している。4月1日にイノベーション拠点「X-NIHONBASHI BASE(クロスニホンバシベース)」を開設することで、オフィスの拡充を図る。三井不動産の植田俊取締役専務執行役員=4月1日付で社長に昇格=は記者会見で、「日本橋を世界に誇る宇宙ビジネスの中心地にしたい」と意気込んだ。
宇宙ビジネスは世界中で大きな注目を集めている。米証券大手モルガンスタンレーの報告書によると、世界の宇宙産業市場は、2017年の37兆円から2040年までに100兆円規模になると予測されている。
国内でもトヨタ自動車が月面探査車の開発や、清水建設が月面基地建設の研究を行うなど宇宙ビジネスの拡大が進むが、米国など世界の先進国と比較し参加企業などの少なさが指摘されている。政府は令和2(2020)年に発表した宇宙基本計画で、宇宙産業の規模を2030年代の早期に約2・4兆円に倍増させるとしている。(浅上あゆみ)