飲料大手各社は5月1日から、25年ぶりとなる缶コーヒーの値上げに相次いで踏み切る。キリンビバレッジは13日、コーヒー飲料「ファイア」の缶商品など飲料42品目について、希望小売価格を19~23%引き上げると発表。原材料や包装資材などの高騰を転嫁したもので、サントリー食品インターナショナルやアサヒ飲料、コカ・コーラボトラーズジャパンも同様の理由で値上げを表明している。
キリンは「ファイア 挽きたて微糖」185グラム缶の希望小売価格を税抜きで115円から25円引き上げ、140円にする。値上げは平成10年以来、25年ぶり。
飲料大手各社は今月に入り相次いで値上げを発表。サントリー食品が2日、缶コーヒー「ボス」の希望小売価格を25円引き上げて、140円(税抜き)にすると発表したのを皮切りに、他社が追随した。アサヒ飲料は「ワンダ」、コカ・コーラは「ジョージア」の価格をそれぞれ引き上げる。
各社の主力商品の希望小売価格は値上げ後に125~140円となり、税込みの販売価格は1缶150円を上回る可能性がある。ただ、小売店や自動販売機の設置者は希望小売価格より低く販売することが常態化しており、「価格設定はあってないようなもの」(飲料業界関係者)。このため値上げ後にどの程度の価格で流通するかは不透明だ。
サントリー食品インターナショナルの内貴八郎専務は13日の決算記者会見で、「25年ぶりの価格改定は、それだけ耐えられない状況になったということだ」と指摘した。円安や原材料高伴うコスト上昇に、業界全体が圧迫されている苦しい状況が背景にある。飲料大手各社は昨年10月にも、ペットボトル商品などの値上げに踏み切っている。(飯嶋彩希)