アバターで切り拓く人類の未来 大阪・関西万博の石黒浩プロデューサー

産経ニュース
「いのちを拡げる」がテーマのパビリオンの展示イメージ
「いのちを拡げる」がテーマのパビリオンの展示イメージ

皆さんこんにちは。大阪・関西万博のテーマ事業「いのちを拡(ひろ)げる」のプロデューサーを務める大阪大学とATR(国際電気通信基礎技術研究所)の石黒浩です。普段の活動としては、最近では特にロボットやCGエージェントを用いたアバター(分身)の研究開発に取り組んでいます。

大阪・関西万博では、科学技術と融合して拡がっていく未来の人間のいのちをテーマに、ロボットなどの技術を駆使して未来の世界を展示するパビリオンをつくります。現在そのパビリオンを、協賛企業の方々をはじめとする多くの協力者とともに準備しています。

50年後の未来では、われわれの生活や社会は科学技術によってどのように変わっていくのか、そこでわれわれはどのような価値観を持つのか、そうした議論を重ねています。おおむねパビリオンの展示の方向性が定まってきており、これから本格的に未来のシーンづくりに取り組んでいきます。

万博の役割の一つは、来場者の方々に未来を体験してもらい、未来に夢を持ってもらうことです。大成功した50年前の大阪万博では、携帯電話など、さまざまな未来の技術が展示され、その技術の実現を夢見て、多くの人が今日まで努力を重ねてきました。この新たな大阪・関西万博においても、来場者の方々に未来に向けた夢を持ってもらえるようなパビリオンをつくることができればと考えています。

50年前とは異なり、科学技術の強大な力を手にした現在のわれわれは、人間や環境の未来を自らが考え、デザインしていく責任があります。どのような未来にすればいいのか、それを来場者の方々が多様な価値観と幸福感を通して、感じたり考えたりできるパビリオンを、実世界と仮想世界の両方で準備できればと考えています。

またこのパビリオンでは、たくさんのロボットやCGエージェントのアバターを配置し、障がい者や高齢者を含むさまざまな人々が、ジェンダー(性差)のバリアも超えて参加できるようにしたいと考えています。アバターは、これからの未来において人間を進化させる重要な技術の一つです。感染症の問題が再び起こっても、多くの人にいろいろな方法で参加してもらえるパビリオンにできればと思っています。(大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー 石黒浩)

いしぐろ・ひろし 大阪大大学院基礎工学研究科システム創成専攻(栄誉教授)、ATR石黒浩特別研究所客員所長(ATRフェロー)。遠隔操作ロボットや知能ロボットの研究開発に従事している。

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