巨人春季キャンプ(7日、宮崎)力を力でねじ伏せる。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表に選ばれた巨人・大勢投手(23)がブルペンに入り、WBCで対戦する強打者を想定して釣り球を磨いた。
「外国人は高めの空振り率が高い。低めの方が飛ばされているイメージ。(高めに)投げられるように準備している」
膝立ちの捕手に対して投げ込んだ直球。スリークオーター気味のフォームから繰り出し、浮き上がるような独特の軌道を描く。日の丸を背負ってオーストラリアと対戦した昨秋の強化試合では〝武器〟を決め球に選び、3者連続三振を奪った。
外国人の強打者に小細工はない。「低めが大事なときもあるけど、基本は高めの方が有効的かな」。侍ジャパンの守護神候補に挙がる最速159キロ右腕はセオリーの外角低めを頭に置きつつ、高めで真っ向勝負を挑む青写真を描く。打者の目線が上がれば、低めに沈む得意のフォークボールも生きる。
「パワーで打ってくる外国人は高い球を狙っていることもある。そこを(大勢特有の)あまりない角度で攻める。球威がある球は釣り球として有効」と巨人・山口投手コーチ。2009年と13年のWBCで侍ジャパンに名を連ねた自身の経験に基づき、難敵の攻略に太鼓判を押した。
大勢は左足を上げる際に軸足を「く」の字に曲げる新フォームを試しながら33球を投じた。「試合では多くても30球は投げない。より試合に近い練習をして、クオリティーを上げていく」。備えあれば憂いなしだ。(鈴木智紘)
★この日の使用球はNPB球 WBC日本代表に名を連ねる巨人の大勢と戸郷は、ともにNPB球を用いてブルペン投球を行った。2人は滑りやすいとされるWBC球との併用をキャンプで継続。過去2大会に出場した山口コーチはWBC球の対応に苦戦した経験を振り返り「感覚が悪くなるときがある。NPB球に戻して指にかかる感覚を取り戻してから、WBC球に慣らしていくという意図じゃないか」と説明した。