3月に開幕する第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の各国の最終メンバーが米国東部時間9日午後7時(日本時間10日午前9時)、MLBネットワークの番組内で一斉に発表される。
スポーツベッティングの米FOXベットライブの優勝オッズは1位はドミニカ共和国で3倍、米国が3・5倍で続き、日本は4・5倍の3位と優勝経験のある3カ国が本命視されている。
前回王者の米国は大谷の同僚、エンゼルスのマイク・トラウト外野手(31)が主将となり、各チームの主力を自らスカウト。ドジャースのムーキー・ベッツ内野手(30)、メッツのピート・アロンソ内野手(28)、カージナルスのポール・ゴールドシュミット内野手(35)、フィリーズのJ.T.リアルミュート捕手(31)らスター選手が続々と参加を表明した。
昨季ア・リーグMVPに輝いたヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(30)こそ出場しないが、野手陣に関しては史上最強のメンバーがそろったといえる。
一方で投手陣は今季からMLBでピッチクロックが導入されるなど、新ルールへの適応期間が必要ということもあり、野手陣と比べるとややネームバリューに欠ける。だが、ドジャースのクレイトン・カーショー投手(34)を筆頭に、ヤンキースのネスター・コルテス投手(28)、元巨人でカージナルスのマイルズ・マイコラス投手(34)ら各球団の主戦ローテ投手が参加の意思を表明している。
現地の報道などから判明している米国代表の先発候補は10人。球数制限のあるWBCで日本は〝第2先発〟として、2番手以降にも普段先発している投手を起用するが、米国はリリーフ専門の投手にバトンをつなぐ起用法を採用している。
WBCは決勝まで戦うとしても、1次ラウンド4試合、準々決勝、準決勝、決勝の最大7試合だ。今大会ではラウンドごとに故障していなくても投手の入れ替えが可能で、1次リーグ後、準々決勝後にそれぞれ2人ずつのメンバー交換が認められる。
そして都合のいいことに米国は1次リーグC組をアリゾナ州フェニックスのチェイス・フィールドで戦い、準々決勝からはフロリダ州マイアミのローンデポ・パークで戦う。アリゾナとフロリダはいずれも米大リーグ球団のキャンプ地で30球団すべてがどちらかでキャンプを張っている。
そこで浮上するのが、先発投手をキャンプ地ごとにグループ分けしてローテーションを編成するという方法だ。米国代表の先発陣は、自チームで新ルールが採用される今季に向けた練習時間を確保しながら、キャンプ地近くで行われるWBCの試合に登板することが可能だ。
米国代表の先発候補をキャンプ地別に分けると以下の通りになる。
・米国代表候補に挙がっている主な先発投手
【アリゾナ組】 クレイトン・カーショー(ドジャース)、カイル・フリーランド(ロッキーズ)、ブレイディ・シンガー(ロイヤルズ)、メリル・ケリー(ダイヤモンドバックス)、ローガン・ウェブ(ジャイアンツ)、ランス・リン(ホワイトソックス)
【フロリダ組】 アダム・ウェインライト(カージナルス)、マイルズ・マイコラス(カージナルス)、ネスター・コルテス(ヤンキース)、ネイサン・イオバルディ(レッドソックス)
カーショーらアリゾナ組は1次リーグを担当し、登板を終えたら自チームのキャンプに帰還。準々決勝ではマイコラスやコルテスらを登録。さらに準決勝、決勝と勝ち上がった場合のみ、カーショーをアリゾナから呼び寄せ、完全体USAで2連覇を狙うという方法だ。
けがでもないのに、選手を入れ替えるなんて…。そんな考えも浮かぶが、ピッチクロックの導入やベース拡大など今季から導入される新ルールは野球の根本を変える可能性がある。この方法ならほとんどの投手が1先発で済み、所属球団からの了解も得やすい。日本が米国と対戦する可能性があるのは、3月20日(日本時間21日)の準決勝のみ。先発投手の分析はフロリダキャンプ組を重点的に行うべきと言えそうだ。