ポトマック通信

「ヘリコプター両親」

産経ニュース

「ヘリコプターペアレンツ」という言葉がある。上空から監視するように子供の行動を把握し、あれこれと口を出す親のことを指す。ある調査機関の報告書によると、1960年代に初登場し、徐々に使われるようになっていった。

いまでは、さらに過保護な親のことを揶揄(やゆ)して「芝刈り機ペアレンツ」「除雪車ペアレンツ」などと呼ぶらしい。子供が転んだり滑ったりないよう、先回りして道を用意している、という意味だ。

米国には多少のつまずきは挽回できる「チャンスの国」のイメージがあるが、実際は地域や出身大学による収入格差が年々大きくなり、階層の固定化が進む。〝失敗〟にしくくなっているのだ。子供への干渉の強まりの背景には、そんな社会変化もあるのだろう。

似たことは職場でも起きていて、部下の行動をこと細かに統制しようとする「ヘリコプター上司」が増えたといわれる。金融機関に勤める知人は、特に新型コロナウイルス禍で在宅勤務が増えて以降、些細(ささい)なことで上司から電話がかかってきて「ノイローゼになりそうだ」という。

問題はそんな干渉が、子供や部下の意欲や自主性、創造力を奪うと指摘されることだ。私も気付かぬうちにヘリコプターになってはいないか-と自問自答してみている。(大内清)

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