関西電力が競合関係にある新電力の顧客情報を、子会社の関西電力送配電のシステムから不正に閲覧していた問題で、関電の森望(のぞむ)社長は31日の決算記者会見で「公正な競争を揺るがすもので深くおわび申し上げる」と謝罪。社長を本部長とする緊急対策本部を同日付で設置し、事実調査と原因究明、改善策の具体化を急ぐ方針を示した。
緊急対策本部は執行役ら社内メンバーで構成。「根底にある課題の抜本的な解決に向けた対応策の具体化と推進」も掲げた。
関電が設置する弁護士ら第三者による「コンプライアンス委員会」でも並行して調査する方針だが、森氏は「コンプライアンス委の指導・助言を受けながら、われわれ自身でまずしっかり調査する」と述べた。
一方、関電は令和5年3月期連結業績予想を上方修正し、最終赤字幅を従来の1450億円から450億円に縮小した。昨年秋以降に燃料の液化天然ガス(LNG)の価格が低下し、為替が円高に推移したため。
同時に発表した4年4~12月期連結決算は、電気料金が上がった新電力からの契約切り替えが増え、売上高は前年同期比42・2%増の2兆7731億円。燃料費高騰などの影響で、最終損益は1244億円の赤字(前年同期は735億円の黒字)だった。
30日に自動停止した高浜原子力発電所4号機(福井県高浜町)について森氏は「原子炉の温度を下げる作業をしており、原因は調査中。心配をおかけし、おわび申し上げる」と述べた。4号機が1カ月停止した場合、利益を95億円押し下げる。電力需給に問題はないとした。