米、困難な判断 ウクライナは戦闘機、長射程ミサイル要望

産経ニュース
米空軍のF16戦闘機(酒巻俊介撮影)
米空軍のF16戦闘機(酒巻俊介撮影)

【ワシントン=渡辺浩生】バイデン米大統領は1月30日、ロシアに侵略されるウクライナが求めるF16戦闘機の供与について記者団の質問に「ノー」と否定した。米国は主力戦車の供与を決めたばかりだが、ウクライナは長射程誘導ミサイルなどさらに高度な兵器の提供も訴える。米国はロシアとの緊張が増すリスクもにらみ、一段と困難な判断を迫られそうだ。

バイデン氏がF16供与を否定したことについて、国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官はCNNテレビに「潤沢な軍事的能力が今後数週間、数カ月でウクライナに送られる」と述べ、地対空ミサイルシステム「パトリオット」など供与を表明済みの兵器の実戦投入を優先させる考えを強調した。

ウクライナのゼレンスキー大統領は昨年末に米議会で演説した際「ウクライナの兵士は米国の戦車と飛行機を完全に使いこなせる」と述べ戦闘機の供与を求めてきた。米政治サイト・ポリティコは1月28日、国防総省幹部らの話としてF16供与を巡る同省内の動きが本格化しつつあると報道。ウクライナ当局者の話として、西側同盟諸国と長射程ミサイルと軍用機供与の可能性について「迅速な協議」を行っているとも伝えた。

ウクライナがF16を求めるのは、保有する旧ソ連製戦闘機のミサイルの備蓄が枯渇すれば、ロシアの戦闘機がウクライナ領空に侵入しても対抗できないとの懸念があるからだ。ウクライナ国防省顧問はロイター通信にF16など第4世代戦闘機が加われば「戦場での利点は計り知れない」と話す。

ウクライナは露軍占領地を広範囲に攻撃できる戦術地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」など長射程精密誘導ミサイルも求める。しかし、露領内への反撃に使用されれば、ロシアが西側へ報復攻撃するリスクは高まる。

米国内では、戦況が新たな行き詰まりに直面する度に兵器のグレードを上げる支援は「特効薬にはならない」(米ブルッキングス研究所のオハロン上級研究員)との見方から、戦争を終結に導く戦略を西側は真剣に検討すべきだとする意見も出ている。

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