堺市の永藤英機市長は31日、市税などの収入不足で将来の市民へのサービス維持が難しくなるとして、令和3年2月に出した「財政危機宣言」の解除を発表した。収支改善に向けた取り組みの効果が見込まれるためという。また、同市の5年度の当初予算案で子育て世帯への支援強化を打ち出した。
市は平成28年度以降の収入不足を受けた宣言後、公共投資や外郭団体のあり方の見直しと人件費の抑制などを実施し、5年度で約22億円の改善効果の見通し。財務改善の取り組みの追加や市税などの増加により、財政調整基金などの取り崩しは避けられるとした。ただ、エネルギー価格高騰などから13年度は17億円の収支不足の予想で、前回見通し(同6億円の不足)より悪化する見込みだ。
会見で永藤市長は「持続可能な着実な財政運営が前提だが、基金の枯渇で予算編成が困難になる状況はひとまず回避できるため、財政危機宣言を解除する」と述べた。
一方、この日発表した5年度の当初予算案では、子育て世帯への支援として、保育料無償化を第2子以降の全ての0~2歳児にも拡充することにし、民間の認定こども園などへの保育料として約6億円増の計10億1267万円を計上。公立こども園での使用済み紙おむつの処分費に382万円を充て、衛生面や保護者の負担の軽減も図る。
10月に開催予定の先進7カ国(G7)大阪・堺貿易大臣会合では、府などと協力して進める歓迎行事の会場費などの負担金3958万円を盛り込んでいる。
市長は「子育て世代の流入や定住を通じ、持続可能な堺をつくり上げていきたい」と話した。
一般会計は過去最高となる前年度比1・4%増の4328億円。歳入は景気改善が進み、市税が前年度比3・8%増の1574億円を見込んでいる。歳出の物件費は光熱費・燃料費の高騰などにより、前年度比5・7%増の582億円となった。