【ソウル=桜井紀雄】韓国の最大野党「共に民主党」の李在明(イジェミョン)代表(58)は28日、検察に出頭し、ソウル近郊・城南(ソンナム)市の市長時代の都市開発に絡む大規模不正事件で取り調べを受けた。李氏は別の不正疑惑で10日にも聴取されたが、検察は今回の事件を李氏を巡る一連の疑惑の「本丸」と位置付けており、捜査は山場を迎えた。
ソウル中央地検前に到着した李氏は「(この場は)尹錫悦(ユンソンニョル)・検事独裁政権が法治主義と憲政秩序を破壊する現場だ」と批判した。共に民主党は、李氏への捜査を検事出身の尹錫悦大統領が「政敵を排除するための野党弾圧だ」と主張し、政権や与党との対立が激化。捜査の行方は政局の焦点ともなっている。
聯合ニュースによると、李氏は2010年~18年の城南市長時代に手掛けた大庄洞(テジャンドン)地区などの都市開発に絡み、市側の内部情報を民間業者に漏らすことで、業者側に計約8000億ウォン(約845億円)に上る不当な利益を得させた業務上背任などの疑いが持たれている。
検察は、業者から李氏の側近を通じて李氏側に選挙資金が不正に流れたとみている。
一連の疑惑では、李氏の最側近ら複数の関係者が逮捕・起訴されており、李氏の起訴も確実とみられている。検察は逮捕状請求も検討しているもようだが、国会議員の李氏は国会会期中に国会の同意なしに身柄を拘束されない不逮捕特権を持つ。国会で多数派の共に民主党と与党との激しい攻防も予想される。