<特報>侍ジャパンのヌートバー、「ハンカチ世代」と交流も リトル時代に「僕は日本の代表」

産経ニュース
久美子さん(左)ら家族と写るヌートバー(中央)(久美子さん提供)
久美子さん(左)ら家族と写るヌートバー(中央)(久美子さん提供)

3月に開催される第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表メンバーで、その異色のバックグラウンドから脚光を浴びる米大リーグ・カージナルスのラーズ・ヌートバー外野手(25)。日本人の母を持ち米国で生まれ育ったヌートバーは、侍ジャパン史上初の日系選手として選出された。一昨年メジャーデビューした〝新星〟は、野球少年だったころ、「僕は日本の代表だ」と口にしていた。そこには、日本野球との深い縁があった。

リトルリーグ時代のラーズ・ヌートバー(久美子さん提供)
リトルリーグ時代のラーズ・ヌートバー(久美子さん提供)

栗山監督から熱烈オファー

「すごくうれしかったみたい。夢のようなことなのだと思う」

米カリフォルニア州に暮らす母の久美子さん(57)は、弾む声で息子の様子を話す。

代表内定が決まったのは、1月上旬に栗山英樹監督と通訳を交えた3人でのオンラインミーティングの場だった。WBCでは、両親のどちらかが代表国にルーツがあることを出場の要件としている。栗山監督からは「侍ジャパンとして日系選手がWBCに出るのは初めて。日本球界がグローバルに広がっていく第一歩になる」と熱烈なオファーがあった。

ヌートバーは2021年にメジャー昇格。身長191センチ、体重95キロ、優れた選球眼や外野からの強肩が光る。高校時代にはアメリカンフットボールでも大学からスカウトされるほど運動神経に恵まれる。

高校日本代表がホームステイ

カリフォルニア州ロサンゼルス近郊の街、エルセグンドで生まれ育った。埼玉県出身の久美子さんと米国人の父、チャーリーさん家族の3きょうだいの末っ子で、幼い頃からスポーツ好きの少年だった。久美子さんも野球ファンで、日本にいたころは「中畑清さんが好きだった」と、球場にもよく足を運んだ。米国に移ってからも、遠征にきた日本のリトルリーグチームの試合を家族そろってテレビ観戦するような野球一家だった。

高校日本代表として米国を訪れた際の斎藤佑樹とヌートバー(左)(久美子さん提供)

米国で暮らす野球少年が「日本代表」を間近に感じたのは8歳のとき。2006年、当時の甲子園を沸かせた「ハンカチ世代」の斎藤佑樹や田中将大ら高校日本代表が米国と親善試合をする際、ヌートバー一家が選手のホームステイ先となったことだった。

当時、帝京高で打線の中核を担い、現在東京ガスで広報を担当する塩沢佑太さんも1週間ほど滞在した。

当時のヌートバーを「やんちゃな、いたずらっ子」と懐かしむ。試合ではバットの回収を行うバットボーイを務め、ウオーミングアップにも参加。「みんなにかわいがられる印象深い子だった」という。

夕食後に庭で素振りをする塩沢さんの鍛えられた腕を「すごい。すごい」と目を輝かせて眺めていた。「もうプロ野球選手を見ているみたいで」。そのまなざしを久美子さんも思い出す。

スパイクのかかとに日本国旗

彼らとの出会いをきっかけに、ヌートバーもそのころの高校球児をまねして、ツバを丸めた野球帽をかぶった。地元のリトルリーグでオールスターに選ばれた際の自己紹介ビデオでは「僕は日本人。日本の代表だ」と言い切ったという。

高校日本代表メンバー全員のサインが入ったジャパンの帽子を手にするヌートバー(久美子さん提供)

1月のオンラインミーティングのときも、当時の代表選手全員の名前がツバの裏に書かれたジャパンの帽子を披露。その帽子を見た栗山監督も、当時キャスターで現地を訪れていたといい、「実は僕も一緒に撮った写真を持っているよ」と驚きの返答があったという。久美子さんは深い縁を感じている。

日本への思いは愛用の道具にも。昨シーズン使用したスパイクの片足のかかとには日本の国旗をあしらった。グローブにも祖父の名前「達治」に由来するミドルネーム「Tatsuji」の刺繍(ししゅう)が入っている。

侍ジャパンでは持ち前の「チャーミングさ」でムードメーカーとしても期待される。久美子さんに習って君が代の練習にも励む。

米国に遠征した高校日本代表メンバーとヌートバー(中央)(久美子さん提供)

「あのWBCの舞台に日本代表として立つ。ぜひ優勝に貢献してほしい」

久美子さんは願う。(末崎慎太郎)


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