金塊を密輸しようとしたとして、関税法違反や消費税法違反などの罪に問われた通関士の男性(42)=中国籍=の判決公判が25日、大阪地裁で開かれた。渡部市郎裁判長は、「関与していない疑いが残る」として無罪を言い渡した。求刑は懲役2年6月だった。
通関士は、輸出入時に荷物の中身の申告といった手続きを担う。男性は、令和元年5月に中国から関西国際空港にかばんの輸入と偽って金塊約120キロが密輸されそうになった事件で共謀したとして起訴されていた。
検察側は、男性が実質的経営者を務める通関業者の協力なしには成り立たない犯行と主張したが、渡部裁判長は「密輸で通関業者を巻き込むのは必然ではなく、むしろ異例」と指摘。事件当日の言動も「事件への関与があったというには不自然」と判断した。