【ニューヨーク=平田雄介】中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)は24日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで首脳会合を開いた。議長国アルゼンチンの左派フェルナンデス大統領は、ロシアのウクライナ侵略後の食料危機を踏まえ「北半球でミサイルが飛び交う中、南半球では飢餓が深まっている」と演説し、南北格差を克服し地域の発展を促すための加盟国の結束を呼びかけた。
フェルナンデス氏はウクライナ侵略について「私たちの経済を危機に陥れた」と強調。物価高などの余波に苦しむグローバルサウス(南半球を中心とした途上国)の一角として、南北格差への不満を表明した形だ。会合には加盟33カ国などが参加し、「加盟国の多様性を促し、地域統合も進める」との文書を全会一致で採択した。
CELACは2011年、米国の影響力が大きな中南米の自律性向上を目指し、反米左派政権のベネズエラが主導して設立された。近年は中国の影響力拡大が指摘されており、今回も習近平国家主席が「CELACは途上国の連帯を強化し協力を推進する上で重要なパートナーだ」とビデオメッセージを寄せた。米国は今回初めて代表団を派遣しオブザーバー参加した。
右派ボルソナロ前大統領の下で参加を見合わせていた地域大国ブラジルからは左派ルラ大統領が出席した。フェルナンデス氏は「CELACは完全になった」とブラジルの復帰を歓迎し、暴徒化したボルソナロ氏の支持者がブラジルの議会と大統領府、最高裁を襲撃した事件を「民主主義が危機にさらされている」と非難した。ルラ氏は「反民主主義的な行為を否定する側に立ってくれた全ての人に感謝したい」と述べた。
ルラ氏は経済規模で南米2位のアルゼンチンと関係を強化し、中南米の地域統合を促す方針。23日には米ドル依存を低減する目的でブラジルとアルゼンチンの共通通貨創設構想を発表した。ただ、メキシコのロペスオブラドール大統領が24日、「(構想が事実なら)同意しないだろう」と述べるなど、必ずしも理解を得られていない。