美村里江のミゴコロ

「薄幸顔」の妙味

産経ニュース
美村里江
美村里江

とある媒体のリレー連載で悩み相談の回答者を務め、もう6年以上になる。編集さんが選ばれた悩み投稿に回答を書いている。そんな中で、自分の顔つきのことでお悩みの方が、年齢問わず多いことに驚いている。

「顔立ち」は生まれつきの形だが、「顔つき」は感情や生き方などと相まったものという認識だ。怒っていないのに怒っているのかと相手に気にされたり、喜んでいるのに伝わらないのは切ないお悩みといえる。

相手に理解を求めるのではなく、自分を改善したい、どうしたらいいでしょうか、とお悩みを送る時点で心に柔軟性がある。皆さん優しい人と思われ、私も毎回真剣に考えて回答を書いている。

私自身の顔はどうかというと、実はデビューしたての頃、われながら情緒のない顔つきで困っていた。いわゆる「味わい」というものがなく、そこまで苦労せず平凡に生きてきました―と、書いてあるようだった。

それが40歳も迫った今、「薄幸」の称号を獲得しつつある。これは物語世界に緩急をつけるため、大変需要のある顔である。死の直前や思いつめる役も増え、無言の表情芝居を求められるので、役者としては光栄だ。

役者をやって20年の間、「そこそこの苦労」はあったが、一生懸命生きていればそれなりの経歴のにじんだ顔になるものなのだと、ホッとしている。

また、実際の私自身はかなり能天気なので、その分、不幸なフィクションへ没頭できるような気もしている。いわゆる補色の関係といっていい。不幸には幸せが映え、幸せには不幸が映えるのではないだろうか。

となると、役者は人生のあらゆることを味わうべきであろう。そんなふうに思える役者の仕事は、やはり面白いと思う。

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