サウナが人気を集める中で、サウナ後の食事「サ飯」にも着目したサウナ施設が今春、横浜中華街(横浜市中区)でオープンする。研ぎ澄まされた五感で街に繰り出し、おいしい中華料理を食べられるようにレストランとサ飯のコースを共同開発。新型コロナウイルス禍が逆風となった中華街に新たな観光スポットを作り、盛り上げようと動き出した構想で、工事費の支援を募るクラウドファンディング(CF)も行われている。(橋本愛)
サウナをオープンするのは中華街に本社を置き、世界の民芸文化を取り入れた雑貨を扱うブランド店を展開する「アミナコレクション」。中華街で運営する宿泊施設「HARE―TABI」に併設する形で日帰りでも宿泊でも楽しめるサウナを整備しており、オープンは3月を予定する。
赤レンガをコンセプトにした内装、蒸気機関をイメージした「蒸気サウナ」、汽笛の音を取り入れた音楽など、開港の街・横浜の風情を感じさせる内容となっている。中華街にある中国茶店の協力のもと、石に水をかけて蒸気を満たす「ロウリュ」で中国茶を使用。漢方の店とのコラボで漢方水風呂も用意した。
サウナ後に食べるサ飯として人気の食事の一つが、スパイスが効き、スタミナのつく中華料理だ。同社は四川料理の老舗、重慶飯店と麻婆豆腐などのサ飯コースを共同開発。新事業推進部の坂西俊郎さんは「料理長もスパイスの調合から積極的に関わってくれた」と自信をのぞかせる。
サウナ事業には、新型コロナ禍で打撃を受けた中華街への思いが込められている。同社は店舗を全国に展開しながらも旗艦店を中華街に置き、街とともに歴史を刻んできた。横浜港に停泊したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の集団感染判明、緊急事態宣言などの影響で中華街は打撃を受けており、「地域活性型サウナとして中華街に観光に来てもらうきっかけを作りたい」(坂西さん)。
ただ準備を進める最中に建築費や資材費などの高騰で費用が当初想定よりも高くなり、今回、CFを企画。サウナ室の工事費だけでも3千万円かかる見込みといい、CFの第一目標金額を500万円と設定し、昨年12月から支援を募り始めた。CFの取り組みを通じて情報発信し、中華街の魅力を伝える狙いもある。
寄付は、CFサイト「READYFOR」で3千円から受け付ける。寄付額に応じて、入浴券などの返礼品を用意。2月10日午後11時まで応募できる。
円形たる型のサウナ小屋も
サウナを新設する動きは相次いでおり、三浦市の京急油壺温泉キャンプパークでは今月、フィンランドで古くから伝わる「バレルサウナ」がオープンした。
円形たる型のサウナ小屋で、熱を均一に保つことができる。室内からは夕日が沈む相模湾や富士山を望むこともでき、絶景を見ながら快適にバレルサウナの非日常を体験できるという。土日祝日限定。
近年、盛り上がりをみせてきたサウナブーム。令和3年の「現代用語の基礎知識選 2021ユーキャン新語・流行語大賞」ではサウナと水風呂、外気浴を繰り返し、深くリラックスした状態を表現した「ととのう」が候補にノミネート。サウナを題材にした漫画やドラマも人気を呼んだ。