北川信行の蹴球ノート

皇后杯決勝展望、なでしこジャパンメンバー入りも期待

産経ニュース
皇后杯準決勝でちふれ埼玉に勝利したINAC神戸イレブン=サンガS
皇后杯準決勝でちふれ埼玉に勝利したINAC神戸イレブン=サンガS

女子サッカーの日本一を決める皇后杯全日本女子選手権の決勝が28日、大阪市東住吉区のヨドコウ桜スタジアムで開かれる。2大会ぶり16度目の優勝を目指す日本女子サッカー界屈指の名門の日テレ・東京ヴェルディベレーザと、6大会ぶり7度目の頂点を狙うWEリーグ初代女王のINAC神戸レオネッサが対戦。名実ともに最高峰の戦いとなりそうだ。

攻撃陣好調な日テレ東京V、INAC神戸は粘り強い戦い

両チームの今大会の戦いぶりを振り返ってみる。

日テレ東京Vは4回戦でマイナビ仙台レディースを4-1で下すと、準々決勝ではサンフレッチェ広島レジーナに3-0、準決勝はアルビレックス新潟レディースに3-1と危なげなく勝ち上がってきた。エースの植木理子が3試合で6ゴール、昨年のU-20(20歳以下)女子W杯で活躍し、女子日本代表「なでしこジャパン」入りも果たした新鋭の藤野あおばが2ゴールと攻撃陣が好調なのが好材料だ。

全体的に足元の技術の高い選手が多く、細かなパスワークで崩してくのが日テレ東京Vの特徴だが、準決勝の新潟戦ではここぞという場面でのDF裏を狙うロングパスも有効だった。「全員が勝利のために走り続けられるのが強み」と植木。多彩な攻撃を繰り広げる意図を、竹本一彦監督は「足元へのパスばかりになっても相手を崩せないし、DFの裏を狙ってばかりでも対応されてしまう。そのバランスが大事。個人の能力を生かすことを考え、それらを混ぜ合わせていくことをチームとして進めている」と強調する。

一方のINAC神戸は4回戦のASハリマアルビオン、準々決勝の三菱重工浦和レッズレディース、準決勝のちふれASエルフェン埼玉の3試合とも2-1の1点差勝ち。年末にU-20女子W杯で最優秀選手に選ばれた浜野まいかが海外移籍し、年明けにはチーム内に体調不良者が相次いだ。もともと少数精鋭の陣容で選手数が多くない中、戦力を整えるのに苦慮しながらも、守護神の山下杏也加、センターバックで主将の三宅史織を中心にした粘り強い守りで接戦を勝負強くものにしてきた。

攻撃陣ではエースFWの田中美南が準々決勝、準決勝と不在の中、中盤の核となる成宮唯が3ゴール。積極的にゴールを狙う姿勢が結実している。「失点しても下を向くことはないし、チームとして落ち着いた感じでいられる」と成宮。高い位置からプレスをかけてボールを奪うアグレッシブなサッカーを目指している朴康造監督は「ボールを握ったときに、もっと冷静に相手のマークをはがしながらできればと思う」と課題を挙げた。

皇后杯からなでしこジャパンへ

皇后杯準決勝で新潟に勝利した日テレ東京Vイレブン=サンガS

勝敗以外にも見どころがある。

今年は7月20日~8月20日にオーストラリアとニュージーランドで女子ワールドカップ(W杯)が開かれるW杯イヤー。16強に終わった2019年フランス大会からの巻き返しを期す「なでしこジャパン」は2月16~22日に米国で開かれる「SheBelieves Cup(シービリーブス・カップ)」でW杯イヤーの活動をスタートさせる。米国遠征のメンバー発表は2月上旬に行われる予定で、皇后杯の決勝に進んだ〝旬の〟両チームから何人選ばれるか、注目される。

昨年の最後の活動だった11月のスペイン遠征では、日テレ東京Vから植木、藤野、北村菜々美、田中桃子の4人が選出、INAC神戸から山下、三宅、田中の3人がメンバー入りした。米国の大学に在籍している選手も含めて23人中11人が海外組で、男子と同じように増えてはいるが、中心はWEリーグ勢。人気向上を目指すWEリーグの活性化のためにも、フレッシュな選手の躍進に期待したい。

「空白の半年」埋める

INAC神戸に期限付き移籍した小山史乃観(北川信行撮影)

今冬の移籍についても言及する。

浜野らが海外に移籍する一方で、INAC神戸は来季からWEリーグに参入するセレッソ大阪堺レディースから、昨季は主将を務めた筒井梨香と、U-20女子W杯メンバーでなでしこジャパンも経験した小山史乃観を期限付き移籍で獲得した。レンタル期間は6月30日まで。

このレンタル期間の短さに重要な狙いが隠れている。

WEリーグは秋にシーズンが始まり、夏前に終了する秋春制を敷いており、セレッソ大阪堺レディースが所属していたなでしこリーグは春にシーズンが始まり晩秋に終わる春秋制となっている。すると、なでしこリーグからWEリーグに参入するチームの選手は、皇后杯やリーグのカップ戦を除くと、前年の秋になでしこリーグの最終戦を戦ったあと、次の年の秋にWEリーグが開幕するまで約1年、公式戦を戦う機会がなくなる。

実際、昨季のなでしこリーグ1部は昨年10月16日に終了。4位に終わったセレッソ大阪堺レディースは皇后杯も12月11日の3回戦で敗退している。来季のWEリーグ開幕は今年11月ごろで、夏ごろにカップ戦が行われる予定となってはいるが、それでも半年以上、真剣勝負の場がない。

これはチームにとっても選手にとっても大きな痛手だろう。とくに、女子W杯のメンバー入りを狙う18歳の小山のような選手にとっては「空白の半年」は大きな意味を持つ。

そういった選手に実戦の場、高いレベルでの競争のを提供する意味合いもあっての短期間のレンタル移籍となった。当然、INAC神戸の補強ポイントとも合致する。

「半年間、試合経験ができないのはマイナスだと思っていた。自分の中では今年の女子W杯はターニングポイント。メンバーに入れるように結果を求めてやっていきたい」と小山。筒井、小山の2人ともセレッソ大阪堺レディースで皇后杯に出場しており、INAC神戸の選手として皇后杯には出場できないが、WEリーグ連覇を狙うチームの貴重な戦力となりそうだ。

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