出生数が80万人を切りそうだということで、岸田文雄首相が「異次元の少子化対策」を打ち出した。児童手当を中心とした経済的支援の強化や、産後ケアなど子育て家庭へのサービス拡充を例示し、予算化を図る考えだという
▶経済的な理由や仕事面の制約で出産をためらう家庭を支援することは必要だが、少子化の根本的な問題は、結婚や出産を考えない若者の増加ではないのか。日本財団の調査では、将来結婚すると思うと答える17~19歳は51%しかいない。結婚しないと思う理由の22・4%は「経済的に難しい」だ
▶低賃金社会だから仕方ないとは思うまい。映画監督の山田洋次さん(91)がこんなことを話している。「僕らの時代は結婚するということは、少し生活が楽になるってことだったんだよ。2人で暮らす方が部屋だって鍋だって一つでよいわけだから」。共有や分かち合いこそが結婚の本質。そんな価値観を説きたいが、古いと言われるだけだろうか。