日本の農家から盗んだ品種を自国で栽培し、果物市場へ流通させる。姿を隠した巧妙な手口、これも1つの「ステルス侵略」といえよう。
国や自治体、生産者が長い年月と資金をかけて開発したブランド農産品の種苗の海外流出が止まらない。
推計される生産量をもとに、日本側に支払う品種の利用許諾料(出荷額の3%と仮定)を算出すると、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が品種登録している高級ブドウ「シャインマスカット」の中国への流出だけでも、年間100億円以上の損失が発生している。
農水省によると、イチゴだけでも、5年間で最大220億円の損失に上る。最近では、みかんの産地で知られる愛媛みかんの「愛媛38号」が中国に流出していたことが判明した。
2021年4月の種苗法改正で、農作物の新品種は海外への持ち出し制限を付けられるようになったが、時すでに遅し。シャインマスカットは、改正前に中国に流出していた。改正以降も流出は後を絶たない。