主張

東電旧首脳の無罪 高裁が個人攻撃を退けた

産経ニュース

東京電力福島第1原子力発電所の事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された同社の旧経営陣の控訴審判決で、東京高裁は勝俣恒久元会長ら3人全員の無罪を言い渡した。

この3人を無罪とした4年前の東京地裁の判断を妥当とする判決だ。

今回の裁判は、東電の旧経営陣3人を検察が不起訴としたのに対し、市民で構成する検察審査会の議決で平成28年に強制起訴されたことで始まっている。

23年の福島事故は4原子炉の同時破損という世界に類のない放射能災害だった。ピーク時には約16万人が避難するなど周辺地域に暮らす多くの住民が甚大な被害をこうむった。事故を防げなかった東電の社会的責任は重い。

だが、事故は千年に1度といわれる巨大津波が原発敷地に流入して起きたものだ。こうした規模の自然災害に起因する事故の刑事責任を個人に求めること自体、ゼロリスクの追求に他ならず、しかも応報的でさえある。

訴訟での争点は、原発事故の9年前に国の機関が公表した日本海溝での地震の発生に関する「長期評価の信頼性」と、経営陣が対策を講じていれば事故を避けられたかの「回避可能性」だった。

この2点に基づき、3人の有罪を求めた指定弁護士側の主張を、高裁は明確な論理で棄却した。

長期評価を重視して原発を停止していれば事故は防げたとする主張には、電力事業者は法律上の電力供給義務を負っており、漠然とした理由で原発の運転を停止できない現実を提示した。このことは世の中に認識されにくいが、重要な点である。

また、長期評価の信頼性については、地震発生の確率などがC(やや低い)とされていたことを示して退けた。

指定弁護士側は水密扉の設置などによっても事故は避けられたと主張していたが、判決では「事後的に得られた情報や知見を前提としている」として認めなかった。判決要旨の締めくくりには「後知恵によるバイアス」という強い言葉も配された。

昨年7月の東電株主代表訴訟判決で東京地裁は、巨大津波は予期でき、水密化を怠ったことで事故を招いたとして今回の3人を含む旧4首脳に現実離れした13兆円の支払いを命じている。高裁での冷静な審理に期待したい。

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