いきもの語り

「自然を次の世代に」 サンゴの保全活動に取り組む 小笠原自然文化研究所 佐々木哲朗さん(46)

産経ニュース
色とりどりの魚が生息する小笠原諸島のサンゴ群落(小笠原自然文化研究所の佐々木哲朗さん提供)
色とりどりの魚が生息する小笠原諸島のサンゴ群落(小笠原自然文化研究所の佐々木哲朗さん提供)

平成23年に世界自然遺産に登録された小笠原諸島。周辺には深い青色の美しい海が広がり、イルカやクジラ、ウミガメのほか、さまざまな種類の生物が生息している。その豊かな生態系を支えているのがサンゴだ。小笠原自然文化研究所の佐々木哲朗さん(46)はサンゴを保全するために20年近くにわたって調査などを続けている。

小笠原諸島は、東京都に属しながらも東京から約1千キロ南の太平洋上に位置する。どの島も一度も大陸と地続きになったことがない海洋島で、生息する生物たちは長い期間をかけて独自の進化を遂げてきた。そのため、小笠原諸島固有の種も多く「東洋のガラパゴス」とも呼ばれている。

調布市出身の佐々木さんは、大学のサークル活動で毎年夏に1カ月程度、小笠原諸島を訪れ、ウミガメの調査をするボランティアを行っていた。大学院に進学後、一度足が遠のいたが「小笠原に住んで小笠原を調べることに未練が残った」という。

大学時代の先輩から誘いをうけ、17年に小笠原自然文化研究所に非常勤の職員として所属し、父島へ移住。当初の任期は1年だったが「調べれば調べるほど危機的状況がわかってくる」と調査に没頭する日々を過ごし「気付いたら今に至るという感じ」と笑う。

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サンゴの天敵、オニヒトデ(小笠原自然文化研究所の佐々木哲朗さん提供)

佐々木さんが力を注いでいる活動の1つがサンゴの保全だ。サンゴは、植物ではなく、イソギンチャクなどの仲間。サンゴが長い時間をかけて形成した地形であるサンゴ礁は、さまざまな海の生物のすみかとなる。

サンゴの天敵はオニヒトデだ。サンゴを食べるオニヒトデは、沖縄県などで度々大量発生し、サンゴに深刻なダメージを与えてきた。小笠原諸島では、これまで、大発生は起こっていないが、28年の調査の結果、オニヒトデが増えていることが確認された。

環境省の委託を受けた佐々木さんらは30年から令和3年にかけ、オニヒトデの駆除作業を実施。140匹を駆除した。「オニヒトデの大発生による被害がないことで、小笠原では原生的なサンゴの群落が残っている。その中には、小笠原固有の種が含まれている可能性もある。今後もオニヒトデを低密度に管理する必要がある」と力説する。

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サンゴ礁を形成するサンゴは、体内に褐虫藻(かっちゅうそう)という藻を共生させており、褐虫藻が光合成を行うことで、サンゴの成長が促進されている。だが、海水温の上昇などによって褐虫藻が失われると、サンゴの骨格が透けてみえるようになる「白化」という現象が起こる。白化した状態が続くとサンゴの群落は壊滅してしまう。

近年、地球温暖化の影響により、多くの海域でサンゴの白化現象が相次いでいる。小笠原諸島でも、昭和48年の記録開始以降初めての大規模白化が平成15年に確認された。その後も21年、令和2年に再び大規模白化が発生。地球温暖化による海水温の上昇が影響しているとみられる。

サンゴを保全するためには、サンゴの変化を長期的に記録し、水温以外のサンゴが減少する要因を取り除くことが重要となる。

「自分たちが感じたユニークな小笠原の自然をいかに残せるか。保全活動は、日々悩みながらの部分も多いが、自然を次の世代に残せるように取り組んでいきたい」。佐々木さんは力強く語った。(長橋和之)

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