【オービュッソン(フランス中部)=三井美奈】フランスで、宮崎駿監督のアニメ映画「千と千尋の神隠し」の名場面を再現した巨大なタペストリーが完成した。中世以来、タペストリー産業の街として知られる中部オービュッソンで制作され、20日にお披露目の式典が行われた。
タペストリーは、主人公の千尋がカオナシと向き合う宴会の場面が題材で、高さ3メートル、幅7・5メートル。地元の工房で1年以上かけて織りあげた。
完成式典は、オービュッソンの国際タペストリーセンターで行われた。作品が広げられると、約300人の参加者から大きな拍手が沸き起こった。織り職人の一人、サラ・シャサンさん(33)は 「4人の女性チームで取り組みました。特に陶器の質感の再現が難しかった。どんな糸を使うかをめぐって、仲間同士でけんかしたこともあるほどです。織機から外し、広げて作品全体を見たのは、今日が初めて。感無量です」と話した。
オービュッソンのタペストリー制作は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録されている。2020年から、宮崎アニメ作品を題材とする5枚のタペストリー制作を進めており、完成は今回が2作目。昨年完成した「もののけ姫」は、同センターで公開されている。