大阪府富田林市で昨年6月、小野優陽(ゆうは)ちゃん=当時(2)=が自宅に放置され熱中症で死亡した事件をめぐり、大阪府の検証部会は20日、児童相談所と富田林市のリスク評価が不十分だったとする報告書を公表した。「評価を変えるべきタイミングがいくつかあったが、できていなかった」と結論づけた。
報告書などによると、優陽ちゃんは事件の約2年前の令和2年6月、祖母と入浴中に溺れて一時心肺停止になった。連絡を受けた府富田林子ども家庭センター(児童相談所)は対応を検討し、安全配慮不足による事故と判断。その後、対応主体を市に移していた。
報告書はより多角的な分析、検討が必要だったと指摘。対応を引き継いだ市が虐待リスクを一時「最重度」として対応したが、3年12月に一度も家庭訪問しないまま、児童福祉法上の「要保護児童」からリスクが低い「要支援児童」へ切り替えていた。この点についても、優陽ちゃんの発育が遅れていたこと▽けがが複数回確認されたこと▽祖母が過去に「孫より実子がかわいい」と発言していたこと-などを踏まえるべきだったとした。
部会長を務めた東京通信大の才村純名誉教授(児童福祉論)は「多面的な視点からリスクを評価すべきだった」と述べた。
事件では、祖母の小野真由美(46)と内縁の夫の桃田貴徳(51)の両被告が、保護責任者遺棄致死と逮捕監禁の罪で起訴されている。