1月11日に緊急のオンライン対応があった。野球日本代表「侍ジャパン」の栗山英樹監督(61)がカージナルスに所属するラース・ヌートバー外野手(25)を第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に挑む日本代表に招集することを発表した。
「シーズンが終わってからカージナルスとそれからヌートバー選手との話の中で、僕と本人としっかりオンラインで話し合って参加をお願いしました。本人も快く受けてくれる形です」
日系選手が日本代表に名を連ねるのは史上初となる。栗山監督はかねてより、その可能性を示唆していた。米国視察から帰国した昨年8月時点で「日本に絡みのあるメジャーにいる選手ですごい選手というのは調べてくれ、と言っている」と動き始めていた。その後、6、7人の日系選手と接触をはかり、主催者側と代表としての出場資格を確認。ヌートバー自身も日本代表としてプレーすることを憧れの一つとして持っており、歴史的な事象が実現した。
昨季、打率・228、14本塁打、40打点、出塁率・340とメジャー実績も十分。中堅も守れ、今の代表にフィットする。ただ、指揮官はそれ以上の意味があると強調する。
「もちろん勝つことが一番。プラスその中で野球というスポーツが、今の閉塞(へいそく)感のある世の中に対して何かできるのか。今の時代にまだ戦争が起こる。他の国で育って野球をやっている中でも人と人がつながっていく、一緒の仲間であるという。もともと人は皆一つだったはずで、そういったことへのメッセージを示すこともスポーツの力だと思う」
世界一奪還が至上命題である中で、その先の日本野球の将来を見据える栗山監督。侍ジャパンがもたらす、周囲への影響にも注目したい。(横山尚杜)