和歌山県が昨年4月、IR(カジノを含む統合型リゾート施設)誘致計画を断念したことを、ご記憶の向きもあるだろう。同県は、自民党の二階俊博元幹事長の地元である。
頓挫の直接の理由は、県が国に申請する予定だった「区域整備計画の認定」を、和歌山県議会が反対多数で否決したことだった。
「否決は痛恨の極み」と語った仁坂吉伸知事はもちろん、実力者・二階氏もIRに大乗り気だったものが、ひっくり返されたのだ。県内外に驚きが広がるとともに、「二階氏の力に陰り…」などとも噂された。
この和歌山県議会の否決はまったく正しかったと筆者は見るが、この判断に少なからず影響を与えたと見られる事件の判決が昨日、和歌山から遠く離れたマカオで下された。
マカオ初級法院(第一審裁判所)は18日、カジノ仲介業(ジャンケットプロモーター)サンシティグループ(太陽城集団)の創業者、アルビン・チャウ(周焯華)被告に対し、禁錮18年の実刑判決を言い渡したのである。英BBCやマカオ新聞などが同日報じた。
チャウ被告が逮捕されたのは2021年11月。実に、計289もの罪で起訴されたが、今般、初級法院はうち162の罪を認定した。その中身はというと、犯罪シンジケート設立、許可施設内などにおける違法賭博経営、詐欺、詐欺未遂…。