ストーカー後絶たぬ被害 「法的対応には限界」の指摘も 福岡女性刺殺

産経ニュース
川野美樹さんが刺殺された現場を訪れ、手を合わせる女性=19日夕、福岡市博多区
川野美樹さんが刺殺された現場を訪れ、手を合わせる女性=19日夕、福岡市博多区

福岡市のJR博多駅近くで会社員の川野美樹さん=当時(38)=が刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕された元交際相手の飲食店従業員、寺内進容疑者(31)は昨年11月、川野さんに対する行為でストーカー規制法に基づく禁止命令を受けていた。しかし、その2カ月後に事件は起こった。ストーカーを巡っては、規制法の罰則の引き上げや警察の体制が強化されているにもかかわらず、殺人や傷害事件に発展する例は後を絶たない。識者は「リスクの高い加害者に法的対応だけで対処するのは難しい」と指摘する。

急増する禁止命令

規制法は、埼玉県桶川市で起きた女子大学生刺殺事件を契機として平成12年に施行。つきまとい行為や待ち伏せを繰り返す人については、被害者からの申し出を受け、警告や禁止命令を出すことが可能となり、悪質な場合は摘発できるようになった。

ただ、対象行為は限られており、実際に禁止命令が出されるハードルは高かった。24年には神奈川県逗子市の女性が元交際相手に殺害される事件が発生。25年には東京都三鷹市で女子高校生が元交際相手に刺殺される事件が起こった。いずれも被害者は警察に相談していたが、禁止命令などは出されていなかった。

こうした事態を受け、26年以降、全国の警察は生活安全部門と刑事部門の連携を強化。規制法のみならず刑法の脅迫罪なども積極的に適用して被害の未然防止に努めるようになった。ある捜査幹部は「被害者からストーカーの相談を受けて捜査し、住居侵入や脅迫によって摘発するケースも多い」と話す。

さらに、規制法も対象行為の拡大や罰則の引き上げなど改正を重ね、警告なしで禁止命令を出せるようになった。このため、28年に全国で173件だった禁止命令等の件数は、令和3年には過去最多の1671件に上るなど急増している。

加害者の動向 「常時確認は限界」

ただ、禁止命令が出されても、被害者が殺害されるケースは相次ぐ。3年11月に北九州市で女性が殺害された事件では、逮捕された元交際相手の男につきまといなどの禁止命令が出ていた。

捜査幹部は「捜査機関が加害者の動向を常時確認するには限界がある」と話す。安全を確保するためには被害者も引っ越しや勤務先を変えるなど安全な場所に避難することが有効だが、「家族がいるようなケースでは、なかなか説得が難しい」(捜査幹部)のが実情だ。

警察庁によると、全国の警察が受けたストーカーの相談は近年、2万件前後で推移。立命館大の広井亮一教授(司法臨床)は「リスクの高いストーカーは、禁止命令といった法的対応だけでは被害を防げない」と指摘する。ストーカーは依存性といった心理面の問題を抱えていることに加え、法的対応を受けることで動揺して不安を強めたり、逆恨みしたりする恐れもあるという。

広井氏は「法的対応だけでなく、臨床心理士の面談など加害者の心の問題にアプローチする仕組みを構築しなければ、根本的な解決にはならないだろう」としている。(花輪理徳)

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