NTT東日本は19日、食用コオロギ生産を手掛けるベンチャー企業と連携し、コオロギ飼育環境の最適化や飼育の自動化を目指した実証実験を始めたと発表した。センサーや人工知能(AI)を用いた温度の管理や画像の分析などを通じて、飼育の省人化やコスト削減につなげる技術開発を行う。令和6年9月ごろまでに技術実証を終える予定だ。
食用コオロギの生産から販売を一貫して手掛ける徳島大発ベンチャーのグリラス(徳島県鳴門市)と組む。NTT東は東京都調布市内にある自社の実証フィールドに飼育室を設置し、室内の温度や湿度、二酸化炭素濃度をセンサーによる常時監視で収集する。適切な環境を自動管理できるシステム構築や、画像認識AIによる分析などでコオロギへの自動給餌方法の開発なども目指す。
グリラスの担当者は「飼育時の環境維持や餌やりは人手頼みで最適化もできておらず、今は(コオロギは)割高な食材」と話し、効率化での生産コスト削減に期待を寄せる。
NTT東は地域課題や社会課題の解決に資するとして、農水産業分野での技術開発を他者との協業で進めている。トマト収穫量予測や、ベニザケやタマクエといった魚の陸上養殖に向けた環境管理の実証試験を展開中だ。
昆虫食は世界人口増に対して食肉生産が追い付かないと予測される中、畜産と比べ環境負荷が少ないタンパク質の獲得手段として注目が集まる。NTT東はコオロギ供給の拡大や、将来的に自社遊休資産の活用の可能性もあるとして、実証連携を決めたという。