「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記

藤浪にア軍が驚きの年俸4億円、果たして助っ人ノイジーの実力は?

産経ニュース
阪神の新助っ人、シェルドン・ノイジー選手(左、球団提供)とアスレチックス入団が決まった阪神・藤浪晋太郎(林俊志撮影)
阪神の新助っ人、シェルドン・ノイジー選手(左、球団提供)とアスレチックス入団が決まった阪神・藤浪晋太郎(林俊志撮影)

藤浪4億2000万円の驚きの金額は何を意味するのか-。阪神には外国人問題を再検討すべき〝ヒント〟かもしれません。ポスティングシステムで大リーグ挑戦を目指していた藤浪晋太郎投手(28)のオークランド・アスレチックスへの移籍が決定。条件は年俸325万ドル(約4億2000万円)プラス出来高100万ドル(約1億2800万円)です。昨季3勝の右腕は年俸4900万円から約10倍の金額をゲットしました。一方で阪神が年俸130万ドル(約1億8200万円)でアスレチックスから獲得したシェルドン・ノイジー選手(28)の評価はどうなるのでしょう。藤浪に4億円払う球団が〝出した〟選手の実力は? 外国人野手についてはいつでも再考する心構えが必要でしょうね。(本文中を含め金額はすべて推定)

藤浪の年俸は10倍アップ

新年早々、海の向こうから驚愕(きょうがく)の情報がもたらされました。ポスティングシステムを利用して大リーグ挑戦を目指していた藤浪のオークランド・アスレチックスへの移籍が決定。締結した条件とは年俸325万ドル(約4億2000万円)プラス出来高100万ドル(約1億2800万円)です。もし、満額ゲットならば1シーズンの働きで6億円を超えます。

3勝5敗で終わった昨季の年俸は4900万円。2017年以降の成績は3勝→5勝→0勝→1勝→3勝→3勝。年俸も2016年の1億7000万円を最高俸として、その後は減俸が続いていました。もし、今季も阪神に残留していれば年俸は3000万円台? 意地の悪い表現には聞こえるかもしれませんが、藤浪は海を渡っただけで〝逆転人生〟を描いた!?

「藤浪には嫌みな表現かもしれないが、〝うまくやったな〟という声が球団内外から聞こえてくる。もしアスレチックスで結果が出なくても、海を越える決断をしただけで年俸10年分を得たんだから…」という阪神OBの言葉には思わずうなずくしかありませんね。

このコラム(「阪神・藤浪晋太郎に18億円の値札!大リーグ移籍年明けに発表か」=2022年12月27日アップ)では、代理人のスコット・ボラス氏がベースになる金額(契約金プラス年俸)と出来高を含めて2年契約1400万ドル(約18億5500万円)辺りを契約締結の基準としている-という情報を書きましたね。さらに、最高の条件を得るためにポスティングの交渉期間の45日間(12月1日に通知したので1月15日午前7時まで=日本時間)を使い切るだろう…とも指摘。移籍発表は越年する-とも書きました。

実際は1年契約で、条件も少し下回りましたが、これをどう見るのか。アスレチックスは昨季60勝102敗でア・リーグ西地区の最下位。チームの改革に着手したばかりです。先発候補も左腕アービンとブラックバーン、新加入のルチンスキーが確定していますが先発の駒は足りません。チャンスを多く与えられる可能性があり、もしシーズンで20試合近くの先発をクリアするならば、出来高のボーナスのゲットもさることながら、来季の契約条件は他球団の評価も含めてもっと跳ね上がります。ボラス氏は強気に単年契約を選択し、今季をステップの場と考えたフシもあります。

開幕戦は大谷翔平のエンゼルス

アスレチックスの今季開幕戦は3月31日(現地時間30日)。相手は高校時代からのライバルだった大谷翔平投手(28)がいるエンゼルスです。もし、藤浪が打者・大谷を封じて、投手・大谷に投げ勝つならば、一気に弾みのつく可能性はあります。超インフレの大リーグ市場ですから、藤浪の評価はわずか1シーズンで高騰し、年俸も2倍や3倍…の夢はあります。そこに賭けた可能性はあります。

藤浪を獲得したアスレチックスは昨季まで所属した阪神球団に譲渡金を支払わなければなりません。年俸の20%(65万ドル=約8320万円)に加えて、出来高の15%(21万ドル=約2680万円)です。快く送り出した阪神球団の首脳からすれば、大成功の〝藤浪物語〟でしょうね。

大リーグの年俸はインフレ状態

しかし、ここでは「藤浪4億2000万円」の事実を少し深掘りして考えたいと思います。どうして、昨季3勝の右腕に4億2000万円の値か-。もちろん、藤浪の潜在能力を高く評価し、昨季後半の投球を評価し、先発ローテ入りの可能性を見いだしたから…ですが、背景には大リーグの超インフレ状況があります。

わずか1週間ほど前ですが、米経済誌フォーブス電子版がMLB(大リーグ機構)の昨年度の総収入が史上最高額の108億~109億ドル(約1兆4600億~1兆4700億円)だったと伝えています。昨季の観客動員はコロナ禍前の2019年よりもわずかに減少したものの、テレビ放映権料やネット配信、広告収入が軒並みアップ。さらに背景にはスポーツ・ベッティング(米国は2018年解禁=合法化)の存在があります。米国と日本では人口や観客動員の比率は3対1なのに収入は10対1の比率なのです。

こうした潤沢な収入をもとに大リーグ30球団はビッグクラブとスモールクラブの大きな格差こそありますが、選手たちに厚遇を与えることができているわけですね。例えば今季のメジャーの最低年俸は70万ドル(約8200万円)です。新労使協定が有効な5年間は上昇していき、2026年は78万ドル(約9100万円)です。メジャーにいるだけで約1億円ですよ。

藤浪の年俸も驚きでしたが、ヤンキースに残留したアーロン・ジャッジ外野手の条件は9年契約の3億6000万ドル(約504億円)。年平均4000万ドル(約56億円)。日本人選手で見るならば、海外FAでソフトバンクからメッツに移籍した千賀滉大投手は5年契約で総額7500万ドル(約105億円)、ポスティングシステムでオリックスからレッドソックスに移籍した吉田正尚外野手は5年契約で総額9000万ドル(約126億円)。

助っ人レベルは低下

そして、こちら阪神ですが…。藤浪が移籍したアスレチックスから今オフ、新外国人選手を獲得しています。シェルドン・ノイジー外野手です。年俸は130万ドル(1億8200万円)です。安くはありません。ありませんが…年俸高騰の大リーグから日本にやってくる外国人選手のレベルはどうなのでしょう。わざわざ? 条件の良い場所から日本を目指すのですから、大リーグ30球団が〝評価しない〟さまざまな分析が背景にあるとみられます。マイナーからメジャーに昇格できないからこそ、日本に稼ぎに来るわけです。こうした傾向は昔からでしょうが、年俸格差の広がった今のご時世では、さらに〝都落ち〟感が強いですね。

「最近、日本球界にやってくる外国人選手のレベルはかなり下がっている。日本の野球のレベルが上がったこともあるが…。昔のような〝助っ人〟感覚でいると落胆することになる。やってくれればもうけもの…ぐらいの感覚でいないといけない」とは球界関係者の話ですね。

なので、わずか3勝の藤浪に4億2000万円出す球団が気前よく〝出した〟ノイジーを最初から戦力計算に入れるのは怖くないですか? 嫌みで指摘しているのではありません。それぐらい疑ってかかり、春季キャンプで実力を見極めることが大事だと思います。ダメなら即、次の候補を考えるぐらいの気持ちの余裕が必要でしょう。

阪神は投手陣は質量ともにリーグ屈指です。昨季の防御率は2・67で12球団№1。机上の計算では打線が3点取ればいい。打線が点を取れば優勝できますよね。逆に打線を何とかしないと投手陣がもったいない…。外国人打者はいつでも再考する…という精神的な余裕が大事-と「藤浪の4億2000万円」は語りかけていると思います。

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。

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