阪神大震災で児童8人が犠牲になった兵庫県芦屋市の市立精道小では17日、6年の児童の進行による追悼式が行われ、児童約660人と遺族らが慰霊碑に黙禱(もくとう)をささげた。
亡くなった児童の人数と同じ8回の鐘が鳴り、追悼式は始まった。講師として招かれた芦屋市消防署副署長の河津卓郎さん(48)は震災時、消防士として救助活動にあたったといい、「神戸市に住む自分の家族の安否もわからないまま、全力で救助活動にあたった。避難所にいた家族に再会できたのは2週間後だった」と不安な思いをした経験を語った。
同校に通う6年と3年の児童の父親でもある河津さんは「このとき、改めて家族の大切さを実感した。みなさんは家族など大切な人とは、普段から会う場所を決めておいてほしい」と呼びかけた。
児童会代表の6年、笠野聡さん(12)は「震災学習で、当たり前だった生活が突然、当たり前ではなくなってしまう怖さを学び、一日一日を大切に生きたいと思った。そして、ひとりでも多くの命が助かるよう、想定外の災害に備えるという過去の教訓がこの学校で受け継がれていくことを願う」と述べた。
その後、全児童が折り紙で作った花を慰霊碑の前に供え、震災で亡くなった児童らを悼んだ。