大阪市の中之島周辺地域に来春、大阪府内で初めて女性のみを対象とした人間ドックを受診できる施設がオープンすることが16日、分かった。人間ドックをめぐっては、男性と同じ施設で受診することに抵抗を感じる女性も多く、女性の受診率低迷の原因と指摘されている。施設で勤務する医師や看護師も全員女性といい、注目を集めそうだ。
新たに開設されるのは「中之島クリニックレディースプラザ(仮)」で、医療法人「知音(ちいん)会」(京都市)が運営する。関西電力病院(大阪市福島区)に隣接し、精密検査が必要になった場合は同病院への紹介も受けられる。令和6年3月の開業を予定している。
新施設の敷地と建物は関電不動産開発(同市)が所有し、検査機器も関電グループの関西メディカルネット(京都市)がリースするなど、関電グループの中之島周辺地域の再開発事業の一環として建設される。
女性の人間ドック受診をめぐっては、待合室で男性と一緒になることがあったり、女性専用の時間枠が少なかったりすることが受診の妨げになっていると指摘されている。人間ドックの対象となる胃がんや大腸がん検査の受診率も、女性は男性より低い傾向がある。
ただ、医療費負担の増大が社会的問題となるなか、各企業の健康保険組合などは、組合員の家族を含め、病気の重篤化を防ぐ人間ドックの受診を促進している。女性専用の人間ドック施設はこれまで、需要が少ないことも開設のハードルになっていたが、社会環境の変化を受けて今後の需要が見込めると判断した。
新施設は、開業時は1日あたり40人ほどの受診を行うが、将来的には70人程度まで拡充する。新施設が近接する中之島エリアでは、再生医療を中心に最先端医療が集積する「未来医療国際拠点」が6年に開設されるほか、鉄道新線「なにわ筋線」の新駅開業も計画されるなど、大阪の新たな医療拠点になると期待されている。(黒川信雄)