国内で1台しかない最新鋭の消防ロボットシステム「スクラムフォース」を有する千葉県市原市で15日、3年ぶりに消防出初式が行われた。会場となった市総合防災センター(同市山田橋)では、消防局や消防団などの関係者ら約700人が、石油コンビナートでの火災を想定した消防演技や車両分列行進などを披露。集まった市民らは、冬季で乾燥が続く中、防火への意識を新たにしていた。
同市は臨海部に石油コンビナート群が立ち並び、平成23年に起きた東日本大震災では製油所でガスタンクが倒壊して爆発炎上し、負傷者が出た。
スクラムフォースは大震災を機に導入。石油コンビナートなどで特殊な火災が発生し、消防隊員らが現場に近づけない場合、代わりに偵察や放水などを行って被害の拡大を抑える。
消防演技では、首都直下型地震が起きて県北西部で震度6強を観測し、市臨海部の石油タンクで火災が発生したと想定。放水砲ロボットや飛行型偵察ロボットなどで構成するスクラムフォースが登場すると、市民らは興奮しながら動画を撮るなどしていた。
同市の小出譲治市長は産経新聞の取材に対し、「これだけ多くの人が来てくれたのは(消防関係者への)期待もあると思う」と話した。家族で訪れたという市内在住の会社員、田中裕貴さん(36)は「消防車が集まって見られる機会がないので、参加できてよかった」と笑顔を見せた。