いよいよファンが待ちかねた、藤井聡太王将―羽生善治九段という、ゴールデンカードの王将戦が、1月8・9日、静岡県掛川市『掛川城・二の丸茶室』から始まった。
今回は誘致という観点からも見ていきたい。
タイトル戦を各地の自治体や施設に予算を持って誘致していただこうというのは、私が15年ほど前に連盟の理事になったときの公約だった。
しかし今日は、私の目標のはるか先を行っているから、うれしい誤算である。
主催者が公に誘致を募集しているのは、竜王戦と名人戦くらいで、他の棋戦は主催者の都合やレギュラーの誘致先があり、容易に新しく入れない状態になっている。
それでも希望するところが多いのは、まず何と言っても藤井の出現によるところが大きい。羽生も7冠達成時代は、別格の人気と知名度があった。
スポーツ紙が将棋を一面で取り上げたのは、羽生が最初だったと思う。しかし今の藤井だと一面は常連で、タイトル戦の一局がTVのニュースで取り上げられるのは、やはり藤井人気のおかげである。
もっとも藤井とともに、YouTubeの動画やTwitterで将棋を広め、女性ファンを増やした棋士の存在も忘れてはならない。将棋を盤上だけでなく、食事やおやつを題材にして、将棋を指せない人にも興味を持たせた。