関西電力子会社の関西電力送配電が管理するシステムから新電力の顧客情報が関電側に漏れていた問題で、両社は13日、昨年9~12月の3カ月間に、関電社員と委託先社員計730人が1万4657契約の非公開情報を不正に閲覧していたとして、電力・ガス取引監視等委員会に報告書を提出した。顧客からの問い合わせ対応での閲覧が大半だったが、一部は「オール電化」の営業活動に利用していた。事業者間の公正な競争を揺るがす事態で、経済産業省は処分を検討する。
関電が閲覧していたのは家庭向けの「低圧」顧客情報。関電に契約切り替え依頼があった場合など関電側からシステム画面にアクセスできるが、一部で契約先や氏名、電話番号などの非公開情報を伏せるマスキングがされていなかった。
マスキングは、平成28年4月の電力小売り全面自由化の際に関西電力送配電がシステム改修して以降、昨年12月19日に修正するまでされていなかったとみられる。不正アクセスは電気事業法で禁止されている。
両社は同委員会から報告を求める通知を受け、3カ月間で730人が非公開情報にアクセスしていたことを確認。アンケートによると、閲覧の目的は9割以上が「顧客からの申し出に対する契約状況の確認や問い合わせ対応」だったが、社員30人が「関電として提案活動を行うため」と回答した。提案活動は住宅向けオール電化の営業だった。
両社は個人情報保護委員会からも同じ事案で20日までに報告を求められている。関電の松村幹雄副社長は記者会見で「電力の公正な競争を揺るがすことと認識している」と謝罪した。