安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件で、奈良地検は勾留期限の13日に、殺人などの罪で、山上徹也容疑者(42)を起訴する。地検は5カ月超にわたる鑑定留置の結果、山上容疑者の刑事責任能力が問えると判断した。山上容疑者の本格的な聴取は11日から再開されており、奈良県警が詰めの捜査を進めている。
山上容疑者は、これまでの調べに母親が旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に入信したことで生活が困窮したと説明。教団に恨みを募らせ、「教団とつながりがある安倍氏を狙った」などと供述していた。 事件当時の精神状態を調べる山上容疑者の鑑定留置は今月10日に終了。捜査本部のある奈良西署に移送され取り調べが再開されたが、こうした供述に変わりはなく、淡々とした様子で受け答えをしているという。
県警は山上容疑者が安倍氏襲撃に使った手製銃の性能を鑑定した結果、銃刀法が発射を禁じる「拳銃等」に相当すると判断し、同法違反(発射、加重所持)容疑でも今月6日に追送検した。
このほか、山上容疑者の自宅から複数の手製銃や火薬類を押収。火薬を自ら調合し、事件前日に教団関連施設が入る奈良市のビルで試し撃ちをしたとも供述しており、県警は武器等製造法違反や火薬類取締法違反などの疑いでも追送検を視野に調べを進め、起訴後も証拠品の鑑定など捜査を継続する方針。