岸田文雄首相は11日(日本時間12日)、中国による日本人へのビザ(査証)発給手続き停止に関し「新型コロナウイルス対策とは一見、関係がないと思われる制限を一方的に行い、極めて遺憾だ」と述べた。外交ルートを通じて抗議し、撤回を求めたと強調した。訪問先のロンドンで記者団の質問に答えた。
中国からの入国者に対する日本の水際対策については、中国本土での感染拡大と、詳細な状況の把握が困難なための臨時的な措置だと改めて説明。同時に「国際的な人の往来を止めないように実施している」として妥当だと訴えた。
中国政府は11日、日本と韓国への追加の報復措置として、第三国へ向かう乗り継ぎ時に中国に一時入国できる優遇政策や臨時ビザ(査証)発給手続きの停止を発表した。
東京都江東区の中国ビザ申請サービスセンターでは11日、申請を断られた人たちが「水際対策ではなくただの嫌がらせだ」と怒りの声を上げた。
江戸川区の女性(60)は、北京に住む90代の両親がコロナ陽性と判定された。中国に渡航して見舞うため申請に訪れたが「危篤状態の証明がない」として係員にセンター入場を断られた。「少しでも可能性があればと諦めずに来たが…。危篤状態かどうか、どうやって証明したらいいのか」と語気を強めていた。