【ワシントン=坂本一之】日米両政府は11日の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、軍事力増強を図る中国や北朝鮮などに対応するため、日本の南西諸島地域の防衛力を日米で強化する姿勢を打ち出した。さらに両国の技術協力を深化させ、日米の技術的優位性を確保する方針だ。
終了後に発表された共同文書では、情報収集や警戒監視などに関する「2国間協力を深化させる」と明記。自衛隊の鹿屋航空基地(鹿児島県)に展開する米軍の無人偵察機「MQ9」などが収集した情報を共同分析する日米共同情報分析組織の運用が昨年11月に始まったことを歓迎した。
MQ9によって南西諸島地域などで中国や北朝鮮などに関する情報収集能力が強化され、米国防総省筋は「共同文書の中でも重要事項の一つだ」と指摘する。
沖縄に駐留する米海兵隊に関しては、改編して即応部隊「海兵沿岸連隊(MLR)」を創設することを確認した。離島などへの分散展開が想定されるMLRは、改編前の榴弾(りゅうだん)砲などから対艦ミサイルに装備を変えた。東・南シナ海で海洋進出を強める中国を牽制(けんせい)し、有事の対処力を引き上げる。
さらに南西諸島などで「日米の施設の共同使用を拡大し、共同演習・訓練を増加」させることで一致し、米軍の嘉手納弾薬庫地区(沖縄県)の共同使用拡充を決めた。日米は同地域での連携を深めることで、米軍と自衛隊の各能力を高めるだけでなく、日米の総合的な抑止力を強化する。
また、脅威が高まる極超音速ミサイルやドローン(無人機)などに対抗する装備の技術開発でも協力を深化させる。
両防衛相は12日に共同研究・開発の迅速化を図る覚書に署名する予定だ。防衛装備品の安定供給に向けた取り決めもまとめ、膨大な軍事費で兵器の高度化を図る中国に対抗していく。
共同文書は日米豪3カ国での技術協力を促進する方針も盛り込んだ。同盟国の技術力を結集し、財政的な負担を抑えながら装備や技術の優位性を高めていく考えだ。日本は昨年12月にまとめた「防衛力整備計画」で研究開発を巡り「米豪英といった同盟国・同志国との技術協力を強力に推進する」と明記しており、連携の幅をさらに拡大していく方針だ。
オースティン米国防長官は11日の記者会見で、両政府の戦略は「明らかに合致している」と述べ、日米連携の推進に自信を示した。