主張

地層処分事業 文献調査だけで止めるな 地下施設は原発活用に必須だ

産経ニュース

原子力発電で発生する高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分に関し、今年は非常に大きな意味を持っている。

北海道の寿都町と神恵内村で約2年前から進められてきた「文献調査」から、次の「概要調査」に進むかどうかの判断が下される時期となるからだ。

HLWの最終処分は、原子力を利用してきた全ての国に共通する課題であり、地下深くの安定した岩盤中に埋設する地層処分を最適方法とすることも共通認識だ。

脱炭素社会とエネルギー安全保障の両立を目指す政府は、原子力発電を活用する方針に転じたが、その実現には、地層処分の地下施設建設が不可避の課題として待ち構える。

北海道の2町村の英断

原発の使用済み燃料から有用な燃料物質を回収した後に廃液として残るのがHLWの成分だ。

HLWはガラス固化体に加工され、厚い鋼鉄製の容器に収納するなどして300メートルより深い岩盤中の地下トンネル内に埋設し、数万年間、人間の生活環境から隔離されることになっている。

経済産業省の管轄下で、この埋設事業を担当するのが原子力発電環境整備機構(NUMO)だ。地層処分施設の建設地選定プロセスは3段階からなり、文献調査、概要調査、精密調査の順に進む。

NUMOは、文献調査を受け入れてくれる自治体の公募を平成14年から始めたが、事実上の無応募が続いた。このため国が前面に立ち、29年には国土面積の3割に当たる地層処分の適地が沿岸部に分布することなどを示す「科学的特性マップ」が公表された。それに合わせて国とNUMOは「対話型全国説明会」を各地で開催するなどの広報活動を展開した。

こうして令和2年11月から寿都町と神恵内村での文献調査が始まったのだが、公募開始から18年を経ての貴重な実現である。改めて両町村の英断に感謝したい。

NUMOは両地域に関する既存の地質調査資料や研究論文など約760点の文献を集め、活断層の有無や過去の地震の履歴、隆起と侵食の程度などについての分析を進めている。

知事はそれでも反対か

マイナス要素を含まないエリアが存在する見通しが得られると、ボーリングなどで地下の様子を約4年がかりで調べる概要調査への道が開けるのだが、北海道では厳しい関門が立ちはだかる。

地層処分の候補地選定は、知事が反対すれば、次の調査に進めない仕組みになっており、道知事の鈴木直道氏はHLWを「受け入れ難い」とする道条例などを理由に、概要調査への移行に難色を示しているからだ。

しかし、納得しにくい理由である。北海道には泊原発がある現実に照らすと身勝手でないか。しかも条例制定は平成12年のことだ。当時と今ではエネルギー情勢が様変わりして、原子力発電の必要性が世界的にも高まっている。

フィンランドでは処分施設の建設が始まり、スウェーデンでも処分地が決まって事業許可が下りている。フランスと中露は精密調査の段階にある。日本での文献調査は2町村にとどまり、国家的課題である原子力発電の後始末(バックエンド)が、北海道だけの地域問題になりかねない状況だ。

本州、四国、九州の市町村からも文献調査に手を挙げてもらいたい。国も沿岸地帯の自治体への申し入れ活動に一段と注力すべきである。このままだと北海道知事が反対すれば地層処分の候補地探しは白紙状態に戻ってしまう。

地層処分事業は地域の活性化にも結びつく。手を挙げる自治体が多いほど最適の地質環境地域が見つかりやすくなるはずだ。

国内にはガラス固化体にして約2万6千本相当の使用済み燃料が保管されている。現行の第6次エネルギー基本計画でも「将来世代に負担を先送りしないよう、現世代の責任として、その対策を確実に進めることが不可欠である」とされている。

岸田文雄首相が主導するGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議の基本方針でも「文献調査受け入れ自治体等に対する国を挙げての支援体制の構築」を明記した。文献調査へのさらなる自治体の関心表明、北海道での概要調査に期待したい。

原子力発電を活用せざるを得ない日本の将来がかかっている。

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