政府が新型コロナウイルス感染症の感染症法上の類型を、危険度が2番目に高い「2類」相当から季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げる方向で検討していることを巡り、コロナ対策を助言する厚生労働省の専門家組織は11日、「必要な準備を進めながら段階的に移行すべきだ」などとする見解を公表した。厚労省は今後、厚生科学審議会の感染症部会などでの議論に活用する。
見解では、類型を変更したとしても、国や医療機関、国民が当面実施すべき感染対策や医療対策を提示。入院調整機能の維持や患者に過剰な費用負担とならない治療の提供、流行状況に応じた予防接種体制の確保などを訴えた。
類型変更の影響としては、入院措置(勧告)がなくなる▽感染者の自宅・ホテル待機がなくなる(行動制限がなくなる)-など5項目を挙げ、それぞれ考察した。行動制限がなくなることで、クラスター(感染者集団)の発生などが懸念されると指摘。行政による健康観察も行われず、きめ細やかな対応が難しくなり、「重症者・死者が増加する懸念がある」とした。
現在、新型コロナは患者や濃厚接触者の行動制限など幅広い措置が可能な「新型インフルエンザ等感染症」(2類相当)に位置付けられている。政府関係者によると、今春にも5類へ変更される見通しで、経過措置として当面の間は医療費などの公費負担を継続し、通常の保険診療に移るステップが見込まれている。