新型コロナウイルス感染が爆発的に増えている中国が、水際対策を強化した日本と韓国にビザ(査証)の発給手続きを停止する報復措置に出た。日本などの水際強化は感染の実態すら公表しない中国への当然の防疫対策だが、中国側は事実上の入国禁止措置ともいえる過剰反応を見せた。「ゼロコロナ」に失敗した習近平政権が、外交でも醜態をさらしている。
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中国の〝逆ギレ〟措置に対し、日本政府関係者は「極めて身勝手だ」と反発、林芳正外相は訪問先のアルゼンチンで10日(日本時間11日)、「新型コロナウイルス対策とは別の理由で発給制限を行ったことは極めて遺憾だ」と述べた。
韓国外務省当局者は「科学的で客観的な根拠に基づいた措置」と中国に反論した。
日本政府は昨年12月30日、中国本土からの直行便での渡航者や、7日以内に中国本土へ渡航歴がある人に入国時検査を義務付けた。1月8日からは香港とマカオを除く中国本土からの直行便の入国者に陰性証明書の提示を義務化し、入国時検査を厳格化した。韓国や米国、インド、欧州連合(EU)加盟国の一部なども同様に水際対策を強化している。
厳格なゼロコロナから一転、8日に入国者の強制隔離を撤廃した習政権はメンツをつぶされた形だが、感染に関する情報が十分に公開されず、各国は対策を余儀なくされているのが実情だ。