ウサギが飛び跳ねることから連想して、卯年は「飛躍の年」と言われることが多い。経済的〝飛躍〟は大変望ましいが、政治が浮つき〝跳ね返る〟のは勘弁してほしい。
昨年来、岸田政権は懸念される傾向にある。とりわけ、7月8日に安倍晋三元首相が暗殺されてからは、糸の切れたたこのように迷走している。
その典型が、昨年12月、防衛費増額のために「増税」を早々に宣言したことだろう。元旦早々に隣国がミサイルを飛ばし、威嚇する安全保障環境で、国民の多くが国防強化に賛成しているのは世論調査が示す通りだ。だが財源を増税に求めるとなると、わけが違う。
2020年以降の新型コロナ禍で、日本経済はすっかり疲弊してしまった。国民は深く痛んでいるのだ。帝国データバンクの調査によれば、2月には飲食料品の4277品目が値上げの予定だ。昨年10月(6700品目)に次ぐ値上げラッシュだ。
さらに、1~4月でみれば、7152品目が値上げされるという。政府は昨年の経済対策で、標準1世帯当たり4万5000円分の電気・ガス料金の助成を決めたが、焼け石に水となりそうだ。
岸田首相は4日の年頭記者会見で、「30年間、企業収益が伸びても期待されたほど賃金は伸びず、想定された『トリクルダウン』は起きなかった」と呼びかけた。