【ワシントン=大内清】バイデン米大統領がオバマ政権で副大統領を務めていた時期の機密文書が首都ワシントンにあるバイデン氏の個人事務所から見つかったことを受け、ガーランド司法長官は10日までに文書の内容や経緯の調査を検察当局に命じた。米主要メディアが伝えた。下院の多数派を握る共和党は、バイデン氏の文書管理に違法性があった可能性があるなどとして議会の調査権限を活用して追及を強める構えをみせている。
バイデン氏は10日、訪問先のメキシコでの共同記者会見で、自身の事務所に機密文書が持ち込まれていたことを知って「驚いた」と述べたうえで、経緯などの調査に「全面的に協力している」と語った。文書の内容は「知らない」とした。
機密文書の取り扱いを巡っては昨年8月、共和党のトランプ前大統領が退任時にホワイトハウスから持ち出した文書が連邦捜査局(FBI)の家宅捜索で押収されており、バイデン氏ら民主党側はこれを強く批判してきた。
民主党の議員らは、今回見つかった文書をバイデン氏側はただちに国立公文書館に返還した上で司法省にも通知するなど「適切に対応していた」として、トランプ氏のケースよりも悪質性が低いと主張。バイデン氏の法律顧問は9日、「文書の適切な管理に向け公文書館と司法省に協力している」との声明を出した。
この声明や米メディアによると、機密文書は中間選挙直前の昨年11月2日、バイデン氏が副大統領退任後に利用していたワシントンの事務所を引き払うため書類を整理していた弁護士らが、施錠された戸棚から見つけた。詳細は不明ながら、文書は10件で情報機関からのメモなども含まれていたという。
トランプ氏は10日、自身の交流サイト(SNS)への投稿で「機密文書がバイデン事務所から見つかったことを、司法省はなぜ中間選挙の前に発表しなかったのか」と非難した。