新型コロナウイルスの爆発的感染が続く中国からの入国者に対し、陰性証明の提示を義務付ける水際対策強化が、日本で始まった。中国の習近平政権は実態とかけ離れた数字を発表し続け、実際の感染状況は闇の中。正確な情報がなく、新たな変異株誕生の可能性も排除できない。水際対策強化でも完全に流入は防ぎきれず、識者は新たな変異株がすり抜ける可能性も考慮して医療態勢整備の必要性を指摘する。日本では年末年始に中断していた全国旅行支援が10日に再開し、人々の移動増加が予想される。中国の状況と合わせ、リスクはさらに高まりそうだ。
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「中国のように感染が急拡大した地域では、免疫機能が低下した人の体内や、動物などからオミクロン株とは全く異なる変異株が出現するリスクもある。中国で流行しているとされる『BA・5・2』『BF・7』はオミクロン株の亜種で、日本に流入しても大勢に変化はないと考えられるが、新たな変異株の場合は面倒なことになる」
関西福祉大学の勝田吉彰教授(渡航医学)は、中国の現在の感染状況についてこう話す。
勝田氏が懸念するのは、中国政府の発表に透明性がないからだ。コロナによる感染者数、死者数についても実態とはかけ離れていることが問題視され、各国の水際対策強化につながった。
中国政府には〝前科〟もある。2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際、当局が発症者数を過少に報告したと北京の人民解放軍病院の医師が、米誌に告発文を寄せた。この医師は当時、告発の動機を「正確な数字を発表しなければ、より多くの死につながる」と説明していた。