米政府が、沖縄県に駐留する海兵隊を数年以内に改編して離島防衛に備えた即応部隊「海兵沿岸連隊(MLR)」を創設する方針を固め、日本政府に伝えたことが10日、分かった。米ワシントンで11日に開かれる外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で確認する見通し。複数の日米両政府関係者が明らかにした。
東、南シナ海で海洋進出を強める中国への抑止力を高めるとともに有事の対処力を強化する狙いがある。
昨年3月、海兵隊はハワイの部隊を改編し、MLRを創設したと発表した。今後、沖縄駐留の2つの海兵連隊を数年以内にMLRに改編し、沖縄とグアムに1つずつ置く方向で調整している。
MLRの規模は1800~2千人程度。小規模の部隊に分散して敵のミサイル攻撃を回避しながら離島から離島に機動的に展開し、敵の射程圏内にある複数の離島で攻撃拠点を築き、味方の艦艇を支援する作戦に当たる。沖縄の海兵隊を約1万人とする米軍再編計画には変更はない見通し。
中国は南西諸島から台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」を越えて活動を活発化させている。中国が統一を目指して台湾に侵攻した場合、中国が海空で優勢となる可能性が高いとみられており、MLR創設によって牽制(けんせい)を図る。
自衛隊も沖縄の防衛、警備を担当する陸上自衛隊第15旅団を師団に格上げするなど南西諸島防衛の強化を進めており、日米の連携が深まることが予想される。