【パリ=田村龍彦】岸田文雄首相は9日午後(日本時間10日午前)、訪問先のフランス・パリでマクロン大統領と会談し、今年前半に外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を開催する方針で一致した。海洋進出を強める中国を念頭に、東・南シナ海での力を背景とした一方的な現状変更の試みへの反対を表明した。
首相は共同記者発表で、「フランスは『自由で開かれたインド太平洋』を実現していくうえで重要なパートナーだ」と述べた。
会談で、首相は国家安全保障戦略など「安保3文書」の改定について説明し、安保分野の連携強化で一致した。両首脳は台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した。
また、首相は先進7カ国(G7)議長国として広島で開催する首脳会議(サミット)では、力による一方的な現状変更や核兵器による威嚇、使用を拒否し、法の支配に基づく国際秩序を堅持するG7の決意を示す考えを伝え、支持を得た。
首相はマクロン氏の案内で火災に見舞われたノートルダム大聖堂の修復工事現場を視察後、夕食を交えて会談し、「テタテ」と呼ばれる通訳のみを交えた一対一の会談も行った。外務省幹部は「2時間半以上時間を過ごし、かみ合った議論ができた」と振り返った。
首相は10日午前(日本時間同日午後)にイタリア・ローマに移動し、メローニ首相と会談する。