スポーツ茶論

「巨象」インド、夏季五輪開催狙う 黒沢潤

産経ニュース
インドのモディ首相(代表撮影)
インドのモディ首相(代表撮影)

ガンジス川がゆったり流れるヒンズー教の聖地、インド北部バラナシ。バックパックを背負いインドを旅した1990年代初め、川辺で意外な光景と遭遇した。露店の茶屋を営む男性が突然、異臭を放つ茶色く濁った川にヤカンを突っ込み、水を煮沸してチャイ(紅茶)を作り始めた。宗教者が沐浴(もくよく)し、遺体も流れる「聖なる川」ながら、衛生的に問題ある水を平然と飲む事実に驚くほかなかった。

外国人にとって、病と隣り合わせのインドの旅はきつい。現地で会ったオーストリア人の若い男性は病気を患い、2週間で20キロ痩せた。1日に1キロ以上減る計算だ。胃腸に自信がある筆者でもインド滞在中は清潔な店での食事にこだわった。

あれから約30年。衛生状況は劇的には改善していないが、インドは世界注目のIT大国として台頭し、14億超の人口は今年、中国を抜いて世界一となる。20カ国・地域(G20)議長にも就任し、2023年は国際社会にその存在を強烈に見せ付ける年となりそうだ。

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そうした自信も背景に、インドのタクル青年・スポーツ相が先月末、主要紙タイムズ・オブ・インディア(電子版)に対し、「36年五輪の招致を真剣に検討している」と表明した。開催地はモディ首相の地元、西部グジャラート州という。

インドはアジア大会や英連邦大会を開催した実績を持ち、タクル氏は「G20で議長を務められるなら五輪も開催できる」と息巻く。また、「インドが製造業からサービス業に至る諸分野で(世界へ)ニュースを発信できるなら、スポーツでも」とやる気満々だ。

インドはこれまで、スポーツ小国に甘んじてきた。民間調査団体「メダルズ・パーキャピタ・ドットコム」によると、過去の夏季五輪の獲得メダル1個当たりの人口1位はフィンランド(1万7845人)で、米国38位、中国107位。インドは最下位の141位(約4434万人)に沈む。

背景には、下位のカースト出身者との接触が「穢(けが)れ」であるとする社会慣習により、格闘技や一部球技が敬遠されてきたという指摘がある。ヨガなど健康増進のための「秘儀」が存在する一方、学校に「体育」の授業が本格導入されていないとの事情もある。日本の学校で一般的に見かけるプールや体育館もまばらだ。

とはいえ、印スポーツ庁は最近、五輪強化予算を効率配分し、外国人コーチ招聘(しょうへい)にも力を入れている。東京五輪には過去最多の約120人の選手を派遣。政権与党インド人民党(BJP)も五輪招致に躍起だ。

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一方、五輪開催は巨額の費用を要し、「政府は本当にホスト国になれるかを考えるべきだ」と自制を促す主要紙もある。印オリンピック委員会の役員の汚職でインドが資格停止となった歴史もあり、国を挙げて招致を進められるか不透明だ。

ただ、中東の小国カタールが昨年、サッカー・ワールドカップ(W杯)開催を通じ、国際的に知名度を上げたことにインドは刺激を受けている。経済成長著しい中国への対抗心もある。

モディ氏は英独立から100周年となる47年までに「先進国になることを目指す」と意気込む。英植民地支配という屈辱の歴史と決別し、自国の力で世界的イベントを成功させたいという意地もあるだろう。

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