ロシア国防省が8日、ウクライナ東部ドネツク州クラマトルスクで、ウクライナ軍の陣地を攻撃し計600人以上を殺害したと発表したことについて、同国軍報道官は同日、「ロシアのプロパガンダ」と否定した。戦力の枯渇が近づいているとみられ、プロパガンダや謀略に頼るプーチン大統領の苦境も浮上している。
ロシア側は陣地2カ所をミサイル攻撃したと主張したが、ウクライナ軍報道官によると、攻撃されたのは民間のインフラ施設で「ウクライナ軍は被害を受けていない」という。ロイター通信は現場の取材班の証言として、攻撃や被害は確認できなかったと伝えた。
英国防省は9日、昨年12月25日の衛星画像から、ロシア南部アストラハン州の基地で最新鋭のスホイ57戦闘機5機が確認されたと明らかにした。使用を自国領内からのミサイル発射に限っていると分析。ウクライナ領内での損失で機体の評価が低下することや、機密の漏えい回避を最優先としていると指摘した。
ウクライナのレズニコフ国防相は、侵攻開始後に確保した分を含むロシアのミサイル貯蔵量は、戦略ミサイルが19%、戦術ミサイルが78%に減少したとのデータを示す。
こうしたなか、ロシアの元軍人や「プーチンファンクラブ」というSNSを運営する極右活動家らが、ドイツで、ウクライナ支援に反対の市民感情を扇動する工作を行っている。昨年8月にベルリンで開かれたイベントに登壇した男性は、ロイターの取材に、かつてスパイ機関として知られるロシア軍参謀本部情報総局(GRU)に勤務していたと認めたという。