東京都八王子市の東京都立大南大沢キャンパスで昨年11月、同大教授の宮台真司さん(63)が切りつけられて重傷を負った事件で、容疑者の男が捨てたとみられるペットボトルからDNA型が検出されていたことが10日、捜査関係者への取材で分かった。過去の事件に関する警察のDNA型データベースでは現時点で合致はないが、警視庁捜査1課は、有力な手掛かりの一つになるとみている。
捜査関係者によると、事件発生の昨年11月29日夕の数時間前から、男が大学構内を歩く姿や自転車を押す姿などが、キャンパス内外の防犯カメラで捉えられており、手にしたペットボトルから水分を取る姿も写っていた。捜査1課は、現場周辺で男が捨てたとみられるペットボトルを特定、回収したという。ペットボトルからは男のDNA型が検出された。
男は宮台さんを襲撃した後、キャンパスの中門付近から学外に逃走。近くのコンビニエンスストアの道路向かいを歩く姿なども防犯カメラで確認されていたが、その後の足取りは詳しく判明していない。
宮台さんは背後から殴られた上に、後頭部や首なども刃物で執拗(しつよう)に切りつけられるなどしていたが「トラブルに心当たりはない」と捜査員に説明。男についても、暗がりで顔がよく分からず、面識がないとも話しているという。
一方、捜査1課は男が捨てたとみられるペットボトルを回収したほか、男が使っていたとみられる自転車の種類などの特定も進めていた。さらに、男の防犯カメラ映像の公開に踏み切るなどしているが、特定に至る有力な情報は得られていない。
情報提供は、警視庁南大沢署(042・653・0110)へ。