日曜に書く

論説委員・藤本欣也 中国人デモに香港人動かず

産経ニュース
香港大学で白い紙を掲げ、中国政府による新型コロナウイルス対策に抗議する人々=2022年11月29日(ロイター)
香港大学で白い紙を掲げ、中国政府による新型コロナウイルス対策に抗議する人々=2022年11月29日(ロイター)

約1年ぶりに香港を訪れた。言論の自由などを制限する香港国家安全維持法(国安法)の施行から2年半、会うことができた香港人のうち、ある人は言葉を濁し、ある人は口を閉ざした。仕方のないことだ。

ウクライナには連帯

気になっていたレストランが1軒あった。先月のクリスマスイブに行くと、香港人客でにぎわっていた。ウクライナ料理を出すレストランである。

中国の習近平独裁政権の支配下に置かれた香港の人々が、ロシアのプーチン独裁政権と戦うウクライナをどう見ているのかについて関心があった。

目を見張った。店のエントランスの周囲に、さまざまなメッセージを書き記した小さなメモが張り付けられていた。

「正義は必ず勝つ」「独裁者たちを放逐せよ」「絶対にあきらめるな、ウクライナ!」

1千枚はあるだろうか。香港で反政府・反中デモが吹き荒れた2019年当時を思い出した。あのころも、市内各所に「自由のために戦おう」「中国共産党に天罰を」「香港人、抵抗せよ!」などと書かれたメモが大量に張り付けられていた。今では全て撤去されている。

「ロシアによる侵攻が始まった(昨年)2月下旬以降、来店した香港人客たちが張り付けるようになったのです」

女性オーナーで、ウクライナの首都キーウ(キエフ)出身のビクトリアさん(31)は語る。3歳のときに香港に来た。

「香港人は今、中国や香港の問題について言いたくても言えないことが多い。ずっと我慢していたものが噴き出している、そんな感じがします」

白紙運動に関心なし

香港滞在中の昨年11月、国安法施行後、押さえ込まれていた中国への抗議デモが起きた。

習政権による厳格な新型コロナウイルス対策「ゼロコロナ」への抗議活動が、中国本土に続いて香港でも発生したのだ。同28日には香港中文大学に100人以上が、金融街の中環にも約60人が集まり、白い紙などを掲げて中国共産党に逆らった。

しかし香港で、反中デモが再燃することはなかった。参加者は中国人学生ら中国本土出身者がほとんどだった。ウクライナには自分たちの思いを託した香港人なのに、なぜ、今回は関心を示さなかったのだろうか。

「19年の(香港民主化)運動のとき、中国人がしたことを思えば同情なんてできない!」とぶちまけるのは、大学在学中にデモに参加して逮捕・起訴された香港人男性(23)=保釈中=である。「再び刑務所に入りたくないから…」と参加を断念した女性(28)もいたが、多くの香港人は中国人たちのデモに冷淡だった。

19年当時、1万2千人超の中国本土出身者が香港の大学で学んでいたとされる。こうした中国人学生の一部が大学構内で中国国旗を掲げたり、香港人学生と対立する学校側を支持したりして、香港人学生とトラブルになったケースが多い。市内各所に大量に張り付けられたメモの撤去に貢献したのも、中国人の集団だったとみられている。

さらに香港人には、〝爆買い〟などをしてゴミをまき散らす中国人への反感も強かった。

共産党を利する断絶

昨年11月下旬の抗議デモに参加した香港在住の中国人女性(30)に話を聞いた。広東省出身で、香港の大学を卒業した後、そのまま香港で就職した。

「香港人は、19年の運動を私たちが応援しなかったと非難しますが、習政権下の中国の状況を理解していません。応援したくてもできなかったのです」

19年の運動に「希望」を見た彼女は翌20年、「自由」を求めて香港にやってきた。そして今回、デモに初めて参加した。国安法が施行されたとはいえ、香港は「中国本土よりまだまだ自由」だという。デモに参加したら、「中国本土ではもっと怖い結果が待っていますから…」。

ただ、香港で「蔑視されている」と感じるのも事実。「香港人は中国人を差別している。傲慢だと思います」と憤った。

香港で起きた抗議デモについて、日本の外交関係者は「(19年の香港人に続き)中国人学生が先鋭化してきた」とみる。

香港は、清朝を倒した孫文が革命の拠点とした歴史を持つ。中国共産党が恐れるのも香港が反共の拠点になることだ。

党としては、習政権に異を唱える香港人と中国人が連携する事態だけは避けたいところだろう。しかし、両者の溝は限りなく深い。それが現状である。(ふじもと きんや)

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