自民党の萩生田光一政調会長と菅義偉前首相が7日からの3連休を活用し、アジアを訪問する。公明党の山口那津男代表も昨年末の韓国訪問に続き、早期の訪中を模索している。議員外交は約3年にわたる新型コロナウイルス禍で制約を受けてきたが、水際対策が緩和された国・地域を中心にハイレベルな交流が活発化しつつある。議員にとっては海外との独自のパイプを示し、存在感を高める狙いもありそうだ。
萩生田氏は7~14日の日程でタイとインド、シンガポールを訪問する。このうち閣僚との会談を予定しているインドは、萩生田氏が側近として支えた安倍晋三元首相が、中国の軍事的台頭を踏まえて創設した日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」の一角を占めるなど最も重視した国だ。
萩生田氏は昨年12月には台湾を訪問した。安倍氏が対中戦略の観点から重視した国・地域を相次いで訪問することで、「自由で開かれたインド太平洋」構想を軸とする安倍氏の外交路線の継承をアピールする意味もあるとみられる。
菅氏は8~12日にベトナムを訪問する。ベトナムは菅氏が令和2年の首相就任後初めて訪れた外遊先で、今回はベトナム側から招待を受けた。
滞在中はフック国家主席やズン首相ら要人と会談するほか、日本とベトナム両政府がハノイに設立した日越大学や、日本企業が建設に参画するホーチミンの都市鉄道1号線を視察する。日本はサプライチェーン(供給網)の多元化など経済安全保障分野でも東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携強化を目指しており、前首相としてベトナム重視の姿勢を改めて打ち出す考えだ。
一方、公明は山口氏が昨年12月29~31日に訪韓し、ソウルで尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談した。当初模索した今月23日に予定する通常国会召集前の訪中は見送る方向となったが、山口氏は「岸田文雄首相が首脳会談を繰り広げる中、与党として日本外交の厚みを重ねなければならない」と議員外交の意義を強調している。