「ジャパネット杯 春の高校バレー」として行われるバレーボールの第75回全日本高校選手権は、男子の鎮西(熊本)が準々決勝で福井工大福井に2―1で競り勝ち、準決勝に進んだ。
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世代屈指のアタッカーが、痛みに耐えて4強に生き残った。昨秋の国体との2冠を狙う鎮西の舛本颯真(そうま)(3年)は、右膝に故障を抱えながらも要所で強打を打ち切った。いずれもフルセットにもつれ込んだ2試合を競り勝ち、「練習から追い込んできた。国体王者の意地もあった」と汗をぬぐった。
東北との3回戦を制し、迎えた福井工大福井との準々決勝。第1セット途中で痛み止めが切れたという。サーブでは前後に揺さぶられ、「体力面はけっこうきつかった」。それでも「自分たちにとっては最後の大会。やるしかない」と踏ん張った。
スパイクの打点が下がり、徹底マークもされていたが、相手ブロックにうまく当て、コースを狙い、得点を重ねた。第3セット10-12の場面では鬼気迫る強打2連発で同点とし、流れを引き戻した。苦しいときは井坂太郎(2年)が奮闘した。エースは「井坂が決めてくれて助かった」と後輩に感謝した。
酷使してきた右膝が悲鳴を上げたのは、昨夏の高校総体後。「歩いていたら膝の力が抜けて、倒れたことも何回かあった」。初制覇した国体の後は全体練習を休み、復帰できたのは今大会の1週間ほど前だった。
前回は決勝で2セットを先取しながら逆転負けを喫した。舛本にとって3年間で唯一、手にできていないタイトルが「春高」だ。予断を許さない状況は続くが、「一番大事なのは春高。3年間の集大成として優勝して終わりたい」と頂点を見据えた。(川峯千尋)